行う(読み)オコナウ

デジタル大辞泉 「行う」の意味・読み・例文・類語

おこな・う〔おこなふ〕【行う〔行なう〕】

[動ワ五(ハ四)]
物事をする。なす。やる。実施する。「儀式を―・う」「合同演習を―・う」「四月五日に入学式が―・われる」
仏道を修行する。勤行ごんぎょうする。
「いみじうぬかづき―・ひて寝たりしかば」〈更級
処理する。指図する。
「世の人の飢ゑず、寒からぬやうに、世をば―・はまほしきなり」〈徒然・一四二〉
(「…におこなう」の形で)処する。付する。
死罪に―・はるべかりし人の」〈平家・二〉
[補説]一定手順を経て、または慣習・方式に従って何かをするのがもとの意。現在もその含みが残る。
[可能]おこなえる
[類語](1するなすやるされるなさるあそばすいたす仕る営む催す執り行うほどこ実施する施行する執行する挙行する敢行する決行する断行する実行する実践する履行する励行する行動躬行きゅうこう遂行強行再挙手を下す

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「行う」の意味・読み・例文・類語

おこな・うおこなふ【行】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ワ行五(ハ四) 〙
    1. 順序、方式にしたがって、しごとをする。挙行する。実行する。
      1. [初出の実例]「然る後に其の状を斟酌(はか)りて、処分(オコナヘ)。因りて官判を承けよ」(出典:日本書紀(720)天武一一年一二月(北野本訓))
    2. 修行する。ことに仏道修行をする。勤行(ごんぎょう)をする。
      1. [初出の実例]「吉野に之(まか)りて、脩行(オコナハ)む、と請したまふ」(出典:日本書紀(720)天智一〇年一〇月(北野本訓))
    3. あたえる。配分する。わりあてる。
      1. [初出の実例]「このあひだにわだのとまりのあかれのところといふところあり。米(よね)、魚(いを)など乞(こ)へば、おこなひつ」(出典:土左日記(935頃)承平五年二月九日)
    4. 食事をする。食べる。
      1. [初出の実例]「早朝行朝膳、進発可参江州御陣之由也」(出典:実隆公記‐長享二年(1488)三月二一日)
    5. 処理する。指図する。
      1. [初出の実例]「頭中将、『さりとてあるべきことならず。これ、諸司の下部めして、かきいでよ』とおこなひ給」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一〇)
    6. 処罰する。制裁する。助動詞「る」を伴った受身の形も多い。
      1. [初出の実例]「此事ぢとう聞召、しょせんやどかす物有ならば、となり三げん、ざいくゎにおこなふべきと有により」(出典:説経節・説経さんせう太夫(佐渡七太夫正本)(1656)上)
    7. 女を自由にする。手ごめにする。
      1. [初出の実例]「ここには女房がないそうだから、きゃつめをおこなってゐるに違ひはねへ」(出典:滑稽本・続膝栗毛(1810‐22)三)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙 順序どおり進行する。
    1. [初出の実例]「生・住・異・滅の移り変る実(まこと)大事は、たけき河のみなぎり流るるが如し、暫(しばし)も滞(とどこほ)らず、ただちにおこなひゆくものなり」(出典:徒然草(1331頃)一五五)

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