行渡る(読み)ユキワタル

デジタル大辞泉 「行渡る」の意味・読み・例文・類語

ゆき‐わた・る【行(き)渡る】

[動ラ五(四)]
広い範囲にもれなく届く。隅々にまで及ぶ。いきわたる。「全家庭に―・る」
世間に広く普及する。いきわたる。「宣伝が―・る」
行って渡る。渡り行く。
「にはたづみ川―・りいさなとり」〈・三三三五〉
[類語]行き届く出回る広がる広まる流布るふする伝播でんぱする浸透する波及する弥漫びまんする蔓延まんえんする伸展する発展するはびこるのさばる流行猖獗しょうけつ跋扈ばっこ跳梁ちょうりょう横行

いき‐わた・る【行(き)渡る】

[動ラ五(四)]ゆきわたる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「行渡る」の意味・読み・例文・類語

ゆき‐わた・る【行渡】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 行って渡る。渡って行く。
    1. [初出の実例]「あしひきの 野行き山行き にはたづみ 川徃渉(ゆきわたり)」(出典万葉集(8C後)一三・三三三九)
  3. おとずれる。訪問する。行く。
    1. [初出の実例]「藤原保昌朝臣身まかりて後、かの八条の家にゆきわたりて心細く聞えければ」(出典:続古今和歌集(1265)哀傷・一四六九・詞書)
  4. 隅々にまで広がり及ぶ。残る所がなく行き届く。いきわたる。〔羅葡日辞書(1595)〕
    1. [初出の実例]「粥がひとわたりゆきわたったとき」(出典:鮫(1963)〈真継伸彦〉二)
  5. 世間に流布する。普及する。
    1. [初出の実例]「はや唐本にて大かた所々えゆきわたりし時に、和板になりしゆへかねておもひの外売遠くなり侍る」(出典:浮世草子・元祿大平記(1702)五)
    2. 「まだ今のやうに琴といふもののゆきわたらないじぶんのこと」(出典:銀の匙(1913‐15)〈中勘助〉前)
  6. 世間の事情に通じる。物事がよくわかる。注意などが行き届く。いきわたる。
    1. [初出の実例]「殊に、あなたは行渡(ユキワタ)ったお生れ、御身上はよし、立派なお武家様ゆゑ」(出典:歌舞伎・勝相撲浮名花触(1810)序幕)

いき‐わた・る【行渡】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 世の中の事情に精通する。あることの通である。いきとどく。ゆきわたる。
    1. [初出の実例]「平目とみせて鮫だの、玉子焼へは豆腐を入れるのと、〈略〉ナント世界には行(イキ)わたったもんだろう」(出典:洒落本・嘉和美多里(1801))
  3. すみずみまでとどく。すべてのところに達する。皆が所有するようになる。
    1. [初出の実例]「御慈悲が、日本の外までいきわたって」(出典:古今集遠鏡(1793)一)

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