精選版 日本国語大辞典 「袈裟」の意味・読み・例文・類語
けさ【袈裟】

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僧の着用する衣。サンスクリット語のカシャーヤkāāya(赤褐色の意味)の音訳。もとは色名で、衣の名称ではなかったが、比丘(びく)の衣が不正色(ふせいじき)(濁色)であったところから衣の名となった。『十誦律(じゅうじゅりつ)』巻27によると、インド、マガダ国のビンビサーラ王が仏を礼拝(らいはい)しようとしたところ外道(げどう)(異教者)であった。そのため、王は仏および仏弟子と外道を区別できる衣服を願い、仏には袈裟(けさ)を着ることを制定した。形は、田の畦畔(けいはん)が整然としているのを見て、長い布と短い布をつなぎ合わせてつくることを指示した。袈裟の条相が田の畦(あぜ)をかたどっており、田に種を播(ま)けば秋に収穫があるように、仏を供養(くよう)すればかならず諸々(もろもろ)の福報を受けるという意味から、袈裟は福田衣(ふくでんえ)ともいわれる。ほかに、掃きだめなどから拾った布を使用することから弊衣(へいえ)、糞掃衣(ふんぞうえ)、小さく切った布片を何枚も縫い合わせたことから割截衣(かっせつえ)、衲衣(のうえ)ともいう。衣財は、綿、麻、絹、樹皮、毛などなんでもよく、色は青、黒、木蘭(もくらん)の濁った壊色(えじき)にする。大きさは、各人の身長に応じてつくられ、縦三肘(ちゅう)、横五肘の幅の局量法(こくりょうほう)と、衣財を直接体に当てて全体の長さを測る度量法がある。種類は、縫い合わせた布片の数により、五条(安陀会(あんだえ))、七条(鬱多羅僧衣(うったらそうえ))、九条~二十五条(僧伽梨衣(そうぎゃりえ))の3種があり、それらはいずれも奇数条である。奇数は陽の数として発展化育のもととなり、仏の教えは、永遠に割り切ることができないものであるからである。しかし、仏教が中国に伝播(でんぱ)するにつれて、生活資具の衣から仏教の標幟(ひょうし)となり、華麗な装飾的なものへと変遷していった。
[川口高風]
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…日本で,茶道その他の諸芸の奥義を意味するのは,その転化である。インド仏教の戒律で,僧伽梨衣(普段着),鬱多羅僧(上衣),安陀衣(下着)という3種の袈裟(けさ)と,一つの鉢多羅,すなわち鉢盂(はつう)を所持することを認めたのが原義で,中国の禅宗では,五祖の法をつぐ神秀(じんしゆう)と慧能(えのう)がその衣鉢を争ったとされる。【柳田 聖山】。…
…衣帯は宗・派により名称,形状,用途が異なることが多いので,ここでは共通する事項についてのみ述べる。衣帯の基本は法衣(ほうえ)(いわゆる衣(ころも))と袈裟(けさ)で,それに被(かぶ)り物,履き物,持ち物等の付属品が加わる。衣帯を着けるには,下着として通常,白小袖(しろこそで)を着用し,その上に袴(はかま)の類をはき,法衣を着け,袈裟を掛けるが,袴類を用いない衣帯もある。…
…僧伽梨(そうぎやり))のことで,これらはいずれも形や大きさ,色,縫製法,着用法などが定められていた。三衣を総称して〈袈裟(けさ)〉ともいうが,これはその色にちなんだ名称である。初期の出家者は質素な生活を旨としていたので,実際に私物として所有を許されたのはこの三衣一鉢と座具(ざぐ),漉水囊(ろくすいのう)の〈六物(ろくもつ)〉だけであった。…
… 仏具は元来仏教教団の生活用具であったが,仏教が発展するにつれて儀式化し,工芸の粋を集めた多彩な優品が製作されるようになる。僧具のうち袈裟(けさ)はインドでは僧侶の生活着であったが,中国や日本では衣の上に,右肩から左腋下にかけて覆う儀式化したものとなる。横に布を継ぎ合わせた長方形の五条,七条,九条袈裟などがつくられ,奈良時代のものが正倉院や法隆寺献納宝物に遺存する。…
…九条袈裟を山岳修行用に簡略化した修験道独自の袈裟。胸前左右に二つ梵天(房)の付いた二条,背の中央にも二つ梵天の一条を垂らし,その末端を威儀線の紐で固定するのが天台系の本山派の結袈裟で,梵天の色は,元来白か黒であったのが,現在は修験者の位階に応じて種々の色を用いる。…
※「袈裟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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