日本大百科全書(ニッポニカ) 「製鋼業」の意味・わかりやすい解説
製鋼業
せいこうぎょう
鉄鋼業の一分野。鉄鋼業は、技術的には、(1)製銑工程(鉱石から銑鉄を生産)、(2)製鋼工程(銑鉄・屑(くず)鉄から鋼を生産)、(3)圧延工程(鋼を加工・成型し、レール、薄板、パイプなどを生産)の3工程からなる。製鋼業は(2)、あるいは(2)と(3)の生産工程をもつ企業をさし、産業分類を示す。製鋼業を構成する企業の形態は、〔1〕平・電炉メーカー(平炉・電気炉で、銑鉄・屑鉄を精錬し鋼を生産。現在の日本では平炉は使用されていない)、〔2〕単純圧延メーカー(鋼塊を購入しその圧延のみを行う)、〔3〕伸鉄メーカー(屑鉄を購入しその再圧延を行う)、〔4〕特殊鋼メーカー(銑鉄・屑鉄を購入、電気炉でステンレスなどの特殊鋼を生産)の四つである。日本では五大高炉メーカー(前記3工程をもち、銑鉄―鋼―鋼材を一貫生産)が鉄鋼生産の過半を占め、おもな製鋼企業は高炉メーカーの系列企業となっている。他の製鋼企業は中小企業といってよい。
[松崎 義]