複葉(読み)フクヨウ

デジタル大辞泉 「複葉」の意味・読み・例文・類語

ふく‐よう〔‐エフ〕【複葉】

葉身が2枚以上の小葉からなる葉。小葉の配列のしかたにより羽状複葉掌状複葉・三出複葉などとよぶ。⇔単葉
飛行機主翼上下に2枚あること。⇔単葉
[類語]木の葉枝葉草葉葉っぱ押し葉葉身葉脈葉柄葉末托葉単葉葉序双葉若葉若緑新緑万緑青葉紅葉こうよう紅葉もみじ黄葉照り葉落ち葉落葉枯れ葉朽ち葉病葉わくらば松葉

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精選版 日本国語大辞典 「複葉」の意味・読み・例文・類語

ふく‐よう‥エフ【複葉】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 二個以上の小葉に分裂した葉。小葉の排列様式によって羽状複葉(葉軸の左右に小葉が排列。フジクルミなど)、掌状複葉(葉柄の先端に小葉が並列。アケビ・トチノキなど)に分かれる。単葉に対していう。
    1. [初出の実例]「葉面一片なるものを単葉と謂ひ二片より多きものを複葉と謂ふ」(出典:植物小学(1881)〈松村任三訳〉四)
  3. 飛行機の主翼が上下二枚になっているもの。また、その翼。
    1. [初出の実例]「『おう、それは矢張り空を飛ぶか。その形は、どうあるか』『単葉と複葉です』」(出典:二つの話(1946)〈井伏鱒二〉)
  4. ( から ) 男女の仲のよいたとえ。〔訂正増補新らしい言葉の字引(1919)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「複葉」の意味・わかりやすい解説

複葉
ふくよう

葉身が複数の部分に分かれている葉をいう。単葉に対する語。分かれている部分を小葉とよび、小葉の並び方や軸との位置関係からいくつかの形がある。葉軸の左右に小葉が並ぶものが羽状複葉で、このうち、軸の先端に小葉があるものを奇数羽状複葉(フジなど)、先端の小葉を欠くものを偶数羽状複葉ナンキンマメなど)とよぶ。葉軸からさらに側軸を出して、これに小葉が左右につくものは2回羽状複葉(ネムノキなど)とよばれる。葉柄の先端に小葉を放射状につけるものは掌状複葉(アケビなど)とよばれる。ただし、葉柄の先端に3枚の小葉をもつものについては三出複葉(クズなど)とよばれる。なお、原則的には羽状複葉であるバラの葉でも、その小葉が三葉だけであるため、三出複葉となることがあるし、ミツバアケビでみられる三出複葉はアケビと同属という関係を考えれば掌状複葉に関連が深いとみることができる。したがって、三出複葉が羽状複葉と掌状複葉のいずれに関係が深いかは、種類によって違うと考えなければならない。三出複葉の左右の小葉の軸の外側へさらに小葉をつけるものを鳥足状複葉(とりあしじょうふくよう)(ヤブガラシなど)という。一般にシダ植物には複葉が多く、葉軸から側軸を出し、その側軸からさらに側軸を出すというような3回羽状複葉など複雑なものがみられる。なお、シダ植物では、葉の説明として羽片、小羽片の語がよく用いられる。羽片とは小葉のことであり、小羽片とは細かく2回、3回と何回か分かれた複葉の一つ一つの小葉を意味している。

[原 襄]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「複葉」の意味・わかりやすい解説

複葉
ふくよう
compound leaf

葉身の切れ込みが深くなって主脈にまで達し,葉面が2個以上の小さな葉になったもの。葉のなかに新たにできた小さな葉のひとつひとつを小葉という。主脈に対する小葉の配列の様式によって羽状複葉 (a) ,掌状複葉 (b) ,鳥足状複葉 (c) などあり,小葉がさらに複葉状になったものを二回複葉または再複葉という。羽状複葉の最も単純なものは三出葉 (d) であり,三出葉の左右の2葉が脱落したものは単身複葉である。

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百科事典マイペディア 「複葉」の意味・わかりやすい解説

複葉【ふくよう】

二つ以上の部分に分かれた葉身をもつの総称。分かれた葉身を小葉という。単葉の対。小葉3枚からなる3出複葉(カタバミ),葉柄の先に小葉が放射状につく掌状複葉(アケビ),中軸の左右に小葉の並ぶ羽状複葉(フジ)などがある。生物体のその他の器官で,葉状構造をもつものに,この語が使われることも多い。

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世界大百科事典(旧版)内の複葉の言及

【葉】より

…毛や鱗片などの付属物をつけている場合も多い。葉身lamina(blade)の構成にも変化があり,単葉と複葉に二大別できる(図1)。単葉は葉身が単一の面でできたもので,辺縁は全縁のものから深く切れ込むものまでさまざまで,ほとんど中肋近くまで切れ込むものでは複葉との差がはっきりしない。…

【飛行機】より

…失速事故で墜死するまでに2000回の実験を行い,固定翼の空力特性について,貴重な資料を残した。彼に続いて多くの研究家がグライダーの実験を始めたが,アメリカのシャヌートOctave Chanute(1832‐1910)は,自然界には見られない複葉翼のグライダーを考案した。複葉とは主翼の翼面積を2枚に分けて上下に配置する形式で,単葉翼に比べて全体がコンパクトにまとまる利点があり,その後の飛行機設計者に大きな影響を与えた。…

【翼】より

…これらに始まる初期の航空機の翼は,反りのある薄い翼型がよいとされ(図5),強さを外の支柱や張線で保った。この場合,上下の翼で一体の架構に組める複葉が構造上有利なので,第1次世界大戦時と戦後の1910~20年代は複葉機が主流だった。だが一方で翼を厚くしても空力的に不利はないとの判断から,内部の骨組みで強度を保てるような厚翼とし,外の支柱や張線を廃して抵抗を減らした片持ち式構造の単葉機も作られ始めた。…

※「複葉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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