中国、青海(せいかい)省北東部の地級市で、同省の省都。黄河(こうが)支流の湟水(こうすい)中流部沿岸にあり、古くは湟中ともよばれた。北方、北川河(ほくせんが)流域の大通(だいつう)回族トゥー族自治県と、湟源など2県、4市轄区を管轄する(2016年時点)。常住人口231万0800(2015)。漢代には、西の高原部は異民族羌(きょう)の居住地として西羌とよんだため、市の西方に臨羌県が置かれた。宋(そう)代に西寧が州名に使われ、清(しん)代に西寧県となった。1949年市制施行。
中華人民共和国成立前からある青海省のほとんど唯一の近代的工業施設であった西寧火力発電所を基礎に、青海細毛織物工場や化学工業、紡績、機械製造などの工場が立地する。市の西方には日月山(じつげつさん)が横たわり、「草原への大門」をなす。その西側は草原と山地の青蔵高原が広がり、牧畜区、すなわちおもにチベット族やモンゴル族の居住区となる。東は湟水河谷が広がり、おもに漢民族の居住区となる。この地域は蘭州(らんしゅう)から延びる黄土高原の南西縁にあたり、乾燥農業を主とする農業区であり、小麦やワタの栽培が盛んである。西寧では、西の皮革製品、羊毛などの畜産品と、東の農産物や茶、砂糖などの交易が活発に行われている。また、交通の要所でもあり、青蔵自動車道や青蔵鉄道(西寧―ラサ)、蘭青線(西寧―蘭州)、寧大線(西寧―大通)の起点である。2014年に開通した高速鉄道の蘭新線第二複線(蘭州―ウルムチ)も通る。以上のように、西寧は青海省の政治、経済の中心である。
[駒井正一・編集部 2017年4月18日]
中国,青海省北東部の市。青海省の政府所在地。人口85万(2000)。毛織物,農業機械などの工業が発達している。西方は青蔵高原の牧畜区すなわちモンゴル族やチベット族居住区に通じており,東の農産物と西の羊毛皮革製品の交易がさかんである。青蔵自動車道や蘭青鉄道などの起点でもある。そのため,全省の政治・経済の中心をなす。また,市は黄河支流の湟水(こうすい)中流の右岸にあり,湟中ともよばれたことがある。漢代には西の高原地域は異民族羌(きよう)の住む地で西羌とよび,市の西寄りに臨羌県が置かれた。後漢には西都県にかわり,西平郡の治所となった。隋代には湟水県が置かれたが,唐にはいりチベット系の吐蕃(とばん)によって廃止された。西寧の名は宋代に設置された州に使われたことに始まる。清には県となり,民国成立後,1944年市に昇格した。この間,明・清には陝西省,民国当初には甘粛省に区分されたが,1928年,青海省設置とともに分属し,省政府が設けられた。
執筆者:駒井 正一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…面積72万1500km2,人口481万(1995),1地区級市,1地区,6自治州からなり,さらにこれらが43県級行政地域(4市轄区,2市,30県,7自治県)に区分されている。省都は北東部の西寧(せいねい)市。
[自然]
青海省はほぼ全域が青蔵高原に属し,北は祁連(きれん),西は崑崙,南はタングラ(唐古拉),東は西傾山などの各山脈に囲まれる。…
※「西寧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
7/22 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新