世界大百科事典 第2版 「西村市郎右衛門」の意味・わかりやすい解説
にしむらいちろうえもん【西村市郎右衛門】
江戸前期の京都の本屋,俳人,浮世草子作者。名は久重。俳号未達,嘯松子(しようしようし)。《新御伽婢子(しんおとぎぼうこ)》(1683),《宗祇諸国物語》(1685),《好色三代男》(1686)などの浮世草子を執筆,一時期西鶴と対抗し,文学史上〈西村本〉と呼ばれるが,西鶴には遠く及ばない。俳人としては凡常の存在であるが,蕉門の俳書を時流に先がけて多く出版。後年は時流に乗り好色本を多く刊行。【長谷川 強】
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