せいおうぼ セイワウボ【西王母】
[1]
[一] 中国、
西方の
崑崙山に住む神女の名。「山海経‐西山経」によれば、人面・虎歯・
豹尾・蓬髪とあるが、次第に美化されて「淮南子‐覧冥訓」では不死の薬をもった
仙女とされ、さらに周の
穆王(ぼくおう)が西征してともに
瑤池で遊んだといい(「列子‐周穆王」「
穆天子伝」)、長寿を願う漢の
武帝が仙桃を与えられたという伝説ができ、漢代には西王母信仰が広く行なわれた。
※延喜式(927)
祝詞「左は
東王父、右は西王母、五方の五帝、四時の四気」
※浜松中納言(11C中)一「
内裏に、せいわうぼ、
東方朔などいひける人の」 〔揚雄‐甘泉賦〕
[二]
謡曲。
脇能物。各流。作者未詳。賢君の誉れ高い周の穆王の所に、三千年に一度咲くという桃の花を持って仙女西王母の
化身である女が現われ、君の御威徳をたたえて花を奉り、天に昇る。やがて西王母が
侍女を従えて天下り、仙桃を君にささげ舞を舞い、
御代を祝う。
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デジタル大辞泉
「西王母」の意味・読み・例文・類語
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西王母【せいおうぼ】
中国神話・伝説の女神。《山海経》によれば,玉山または崑崙(こんろん)山に住む豹尾虎歯の半人半獣。頭に勝(髪飾)をいただき,三青鳥が食物を運ぶという。のち神仙説の流行から仙女化し,周の穆王や漢の武帝との会見伝説も生じた。魏晋以後,東王父という配偶者を得て道教で崇祀され,人びとの運命をつかさどる神とされたほか,民間信仰でも不老不死の女神として今日に至るまで尊崇を集めている。
→関連項目沂南画像石墓|三足烏|嫦娥|七夕伝説
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せいおうぼ【西王母 Xī wáng mǔ】
中国の神話,伝説などに登場する女神。西極の地に住むとされる。《爾雅(じが)》に四荒(しこう)(荒は大地の果ての近辺)の一つとして西王母を挙げるところから,西方の異域の地名・国名に由来するともいう。《荘子》にはすでに,道を得た神人として西王母の名が見え,《山海経(せんがいきよう)》は豹尾で虎歯,勝(しよう)(髪飾り)を頂いた恐ろしげな西王母を記述する。ただ《穆天子(ぼくてんし)伝》には,西裔の地を巡狩した周の穆王が瑶池(ようち)において西王母と宴を開き歌の贈答をするなど,いささか人間化した西王母が出現する。
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西王母
せいおうぼ
中国神話の女神
古く崑崙 (こんろん) 山に住む人面虎歯豹尾 (こしひようび) の半獣神,のちには絶世の美人,秦・漢代には神仙思想の影響を受けて気高い不死の仙女とされた。西王母を歴史上の実在の人物に比定しようとする試みもあるが,定説はない。道教の成立後は,道教の神として庶民の運命を司る神とされ,東王父と相対して祭られている。
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西王母
せいおうぼ
Xi-wang-mu
中国古代の仙女。崑崙 (こんろん) 山に住み,不老不死の薬をもつ神仙といわれ,仙女の世界の女王的存在として長く民間で信仰された。
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西王母
(通称)
せいおうぼ
歌舞伎・浄瑠璃の外題。- 元の外題
- 七所御摂初鉄漿
- 初演
- 文政5.3(江戸・市村座)
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西王母 (セイオウボ)
学名:Camellia seiobo
植物。ツバキ科のツバキの交配種
西王母 (セイオウボ)
植物。バラ科のハナモモの園芸品種,落葉小低木。カラモモの別称
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世界大百科事典内の西王母の言及
【牽牛・織女】より
…民話の中にはさまざまなバリエーションがあるが,白鳥処女説話と結合したものは,次のような粗筋である。西王母(王母娘娘)の末娘の織女が姉妹たちと水浴をする間に,飼牛の助言によってその天衣をぬすんだ牛郎が織女と結婚する。西王母は二人の結婚を怒って織女を天につれもどすが,牛郎は飼牛の助力で天に昇り織女と再会する。…
【モモ(桃)】より
…桃を仙果だとし,それを食べることにより長生が得られるという伝承は,南北朝以降,道教的な色彩の強い文芸の中に多く出現する。《漢武故事》や《漢武帝内伝》などがそうした中でも早いもので,漢の宮廷を訪れた西王母が武帝に3000年に1度だけ実を結ぶ桃の実を与えて食べさせる。このように桃はとくに西王母との結びつきが強く,《西遊記》で孫悟空がめちゃくちゃにする蟠桃会(ばんとうえ)も西王母が主宰するものであった。…
※「西王母」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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