視物質(読み)シブッシツ

デジタル大辞泉 「視物質」の意味・読み・例文・類語

し‐ぶっしつ【視物質】

脊椎動物の目の網膜に含まれ、光感覚受容体としてはたらく色素たんぱく質総称

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「視物質」の意味・わかりやすい解説

視物質
しぶっしつ

光受容器内の視細胞に含まれる感光色素タンパク質で、光を吸収する性質をもつ。脊椎(せきつい)動物の網膜には、桿状体(かんじょうたい)(桿体)と錐状体(すいじょうたい)(錐体)の2種類の視細胞があり、それぞれの外節には性質の異なる視物質が存在している。桿状体の視物質は桿状体物質、錐状体の視物質は錐状体物質とよばれ、前者は薄明視に、後者は昼間視に関係している。これらの視物質は発色団レチナール(11-シス型)とタンパク質部分であるオプシンとが結合したもので、光を照射するとレチナールはオールトランス型に変化する。オールトランス型レチナールは異性化酵素の作用で、ふたたび11-シス型となり、オプシンと結合して視物質が再生される。一方、レチナールにはレチナール1とレチナール2の二つがあり、オプシンにも桿状体オプシンと錐状体オプシンの2種類があるので、これらの組合せで4種類の視物質(ロドプシン、ポルフィロプシン、アイオドプシン、サイアノプシン)が理論上存在することになる。

 これまでに、ロドプシンが多くの脊椎動物の桿状体物質として、ポルフィロプシンが淡水魚両生類の桿状体物質として、アイオドプシンが鳥類の錐状体物質として、それぞれ確認されている。ヒトでは単一錐状体の光吸収を測定することによって、それぞれ赤色、緑色青色に感ずる3種類の錐状体物質を区別することができる。無脊椎動物では、頭足類の網膜や甲殻類昆虫類複眼からロドプシン様の視物質などが抽出されている。

[山口恒夫]

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