精選版 日本国語大辞典 「視神経」の意味・読み・例文・類語
し‐しんけい【視神経】
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視覚情報を脳に伝える視覚路の一部で、視神経乳頭部から視神経交叉(こうさ)(視交叉)部までのかなり太い円柱状(径4~7ミリメートル)の神経線維の束をさし、視束ともよばれる。脳神経の一つに数えられるが、視神経は脳の末梢(まっしょう)神経ではなく、発生学的、組織学的あるいは機能的にも脳の膨出部とみられている。
色彩と明暗の感覚は、網膜の刺激受容器である視細胞が光刺激として受け取り、神経の機能単位であるニューロンを三度かえて脳後極の視覚領(線条野)まで電磁波として送られる。すなわち、1億個に近い視細胞(第1ニューロン)は双極細胞(第2ニューロン)を経て神経節細胞(第3ニューロン)約100万に集約され、これから出た神経線維は眼球後端の視神経乳頭部に集まる。ここから強膜篩状板(しじょうばん)を貫き、髄膜3層からなる視神経鞘(しょう)に包まれて眼窩(がんか)内を後走し、視神経管を通って頭蓋(とうがい)内に入る。この視神経は左右それぞれ約100万本の神経線維よりなり、視交叉部で60~80度の角度で合流したのち、ふたたび左右に分かれて視索とよばれ、外側膝状体(しつじょうたい)に入って次の第4ニューロンに伝達される。視神経乳頭から外膝側状体までの長さは約70ミリメートルで、電線の役をしているが、そのうち視神経の長さは35~55ミリメートルで、個体差がある。また、視神経内では網膜の耳側、黄斑部(おうはんぶ)、鼻側より発した神経線維がそれぞれ整然と特定の部分を束状になって後走し、頭蓋内に入って視交叉部に達すると、鼻側線維だけが左右互いに反対側の視神経のほうへ交叉合流(約半分交叉)し、それぞれ網膜耳側より発した線維とともに視索として外側膝状体接合部に達する。視神経の一部には、視覚に関係のある反射運動、すなわち瞳孔(どうこう)反射や調節機能などに関与する求心性伝導路が含まれ、この神経線維は外側膝状体よりさらに進んで上丘に達している。
視神経は神経膠細胞(こうさいぼう)や結合組織に包まれ、眼動脈由来の豊富な血管網によって栄養補給を受けており、血流障害、感染、中毒、圧迫など、つまり髄膜炎や脳腫瘍(のうしゅよう)などによって障害を受けやすく、また視神経鞘でくも膜下腔(くう)の髄液に包囲されているので、髄液変化によっても障害されやすい。なお、視神経内の神経線維は整然とした走行を脳内でも維持されており、もし脳や視神経の途中でなんらかの障害があれば、逆に乳頭所見や視力・視野の変化などによって障害の位置、原因、強さなどを診断する有力な手段となりうる。
[井街 譲]
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… 光刺激により視細胞には膜電位変化が起こる。脊椎動物の網膜には双極細胞や水平細胞,アマクリン細胞などの介在神経があり,視細胞に起こった変化はこれらに伝えられ,最後に視神経のインパルスとなり,大脳皮質に伝わる。光刺激に対する視神経繊維の応答の特徴の一つは,側抑制がみられることである。…
…鼻腔上部の嗅細胞(嗅覚刺激に応じる感覚細胞)の突起が直接脳に到達している点が特徴的である。 第2脳神経は視神経nervus opticusである。網膜の神経節細胞の軸索で部分交差して間脳や中脳に達する。…
…【立田 栄光】
[目の発生]
眼球の発生のようすは脊椎動物の各系統を通じて共通である。眼球の構成要素のうち,網膜,視神経,色素上皮,毛様体と虹彩の上皮は中枢神経の一部である眼胞optic vesicleがもとになって形成される。水晶体,角膜の上皮,結膜の上皮は外胚葉性の表皮由来であり,角膜の支質と内皮,強膜,脈絡膜,毛様体と虹彩の上皮以外の部分は中胚葉性の間充織由来である。…
※「視神経」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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