親父(読み)オヤジ

デジタル大辞泉 「親父」の意味・読み・例文・類語

おや‐じ〔‐ぢ〕【親父/親仁/親×爺】

自分父親を親しんで、また、他人に対してへりくだっていう語。⇔おふくろ
中年または老齢の男や、他人の父親をいう語。「隣の―」
店の主人。「飲み屋の―」
部下がその集団の長を親しんでいう語。
ヒグマの俗称。山のおやじ。
父母の父。祖父。
「―を殺さしておめおめと其人と同道して是迄来る腰ぬけと」〈浮・国姓爺明朝太平記〉
[類語](1お父さんパパ父上父親男親てててて親お父さまちゃん父じゃ人乃父だいふ阿父あふ慈父/(2大人おとな成人社会人大人だいにん成丁せいてい成年丁年ていねん壮年壮丁壮者おじさんおじちゃんおっさんおっちゃんおじん父ちゃん坊やおばさんおばちゃんおばん一人前分別盛り訳知りアダルト/(3店主主人あるじマスター

しん‐ぷ【親父】

《古くは「しんぶ」とも》父親。実の父。「御親父様によろしく」⇔親母しんぼ
「僕の―などはドウモ頑固で仕方がない」〈鉄腸雪中梅

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精選版 日本国語大辞典 「親父」の意味・読み・例文・類語

おや‐じ‥ぢ【親父・親仁】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「おやちち」の変化した語か )
  2. 父親を親しんで呼ぶ語。現在では、他人に対して自分の父をへりくだっていう場合が多い。⇔おふくろ
    1. [初出の実例]「是こそむかし千手の前の親仁(オヤヂ)の所よ」(出典浮世草子・好色一代男(1682)七)
  3. 他人に対して自分の夫をいう語。
    1. [初出の実例]「親仁(オヤヂ)どのはわたしにばかり食てかかる」(出典:滑稽本浮世風呂(1809‐13)三)
  4. 年取った男を親しみをこめて、また、見くだして呼ぶ語。
    1. [初出の実例]「なふはや日のくれて候親仁殿 七十すくれは浮世の思ひ出」(出典:俳諧・西鶴大句数(1677)五)
  5. かしらだったものを呼ぶ語。親分。主人。
    1. [初出の実例]「正右衛門返事に、おやぢの承事候間」(出典:梅津政景日記‐慶長一七年(1612)八月二六日)
  6. ( 親司 ) 和船乗組の職制の一つ。船頭につぐ幹部で、舵取りを担当し、船内取締りや船務の監督指揮をも務める役。〔時規物語(1850)〕
  7. (ひぐま)の俗称。山の親父。
    1. [初出の実例]「よくおやぢの出るところださうだが」(出典:断橋(1911)〈岩野泡鳴〉一一)

しん‐ぷ【親父】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「しんぶ」 ) ちち。父親。
    1. [初出の実例]「望今明暇、欲親父草命」(出典:正倉院文書‐天平宝字二年(758)九月二一日・阿閇豊庭解)
    2. 「親父(シンブ)入道相国の体(てい)をみるに悪逆無道にして」(出典:高野本平家(13C前)三)
    3. [その他の文献]〔史記‐韓安国伝〕

やじおやぢお【親父】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「おやじ(親父)」の「お」「やじ」を逆にしたもの ) =おやじ(親父)
    1. [初出の実例]「親父(ヤジヲ)けっくにどうらくをつくし、ぢぢい婆々の芸しゃはやる」(出典:黄表紙・無益委記(1779))

や‐じ‥ぢ【親父】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「おやじ(親父)」の略 ) =おやじ(親父)
    1. [初出の実例]「まだるいなあ・やじにひまやれわかいもの」(出典:雑俳・削かけ(1713))

おや‐じい‥ぢい【親父】

  1. 〘 名詞 〙 「おやじ(親父)」の変化した語。〔かた言(1650)〕
    1. [初出の実例]「おやちいが叱(しかり)まするとなぜ言はぬ」(出典:雑俳・川傍柳(1780‐83)四)

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デジタル大辞泉プラス 「親父」の解説

親父

1978年初演のヒュー・レナードによる戯曲。原題《Da》。1978年に第32回トニー賞(演劇作品賞)を受賞。1988年に『マーティン・シーンのda/ゴーストになったパパ』の題名で映画化された。

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普及版 字通 「親父」の読み・字形・画数・意味

【親父】しんぷ

実父

字通「親」の項目を見る

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