女性の被(かぶ)り物の一種。現在では花嫁が婚礼の際に用いているが、元来は江戸時代の富裕家庭の女性の被り物で、手拭(てぬぐい)と同じく外出の際のちりよけ用として使ったもので、室内では取り去るのを例とした。正しくは練絹(ねりぎぬ)でつくられたので練(ねり)帽子とも揚(あげ)帽子ともいい、前髪の部分と、後ろの髱(たぼ)の部分を銀製定紋付きの帽子針で留めた。古来の角隠しは角(つの)帽子といって、報恩講のおりに老婆がかぶる黒の帽子で、女性が角を出すことを戒めるものであった。これが、嫁しても角を出さないようにとの戒めを込めて、揚帽子をも角隠しというようになるのは明治に入ってからである。なお、形態はまったく違うものだが、静岡県掛川付近では古来の角帽子の形のものが葬儀に際して用いられている。
[遠藤 武]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…揚帽子は表は白,裏は紅絹の袷仕立てで,俗に白鷺と呼ばれた。芝居や野遊びの塵よけとしてかぶられたのが,近代になって角隠しと呼ばれるようになり,婚礼用として今に残っている。角帽子は揚帽子の白鷺に対して烏と呼ばれた和船形の帽子である。…
…葬式に〈かつぎ〉や,綿帽子や,きれでつくった〈おかざき〉(北陸地方)や,〈ふなぞこ〉(四国)または一片の白布をかぶり,白紙を三角に折ったものを額にあてることなどがそれである。婚礼にもかぶり物が重要視され,花嫁の角隠しは最も新しく,現代も用いられているが,それ以前に綿帽子や〈おかざき〉〈ふなぞこ〉〈かつぎ〉などがあって,かぶり方をやや変えるだけで,吉事にも凶事にも共用する。田植の手拭,宮まいり児の鉢巻,祭りのみこしかきの鉢巻,踊子の鉢巻も晴着のかぶり物で,参拝にも客前に出るにも,かぶり物をかぶるのが作法であった。…
※「角隠し」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
冬期3カ月の平均気温が平年と比べて高い時が暖冬、低い時が寒冬。暖冬時には、日本付近は南海上の亜熱帯高気圧に覆われて、シベリア高気圧の張り出しが弱い。上層では偏西風が東西流型となり、寒気の南下が阻止され...
11/10 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/26 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典を更新
10/19 デジタル大辞泉プラスを更新
10/19 デジタル大辞泉を更新
10/10 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
9/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新