精選版 日本国語大辞典 「解散」の意味・読み・例文・類語
かい‐さん【解散】
げ‐さん【解散】
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議会の構成員たる全議員の資格を、任期満了前に、同時に失わせる行為をいう。解散権は行政府によって行使されるが、解散に引き続いて実施される総選挙によって有権者の意思を問うことを目的とするため、公選議員からなる下院について認められるのが通例である。
解散は、イギリスにおける議会制の発展の過程で生まれた制度であるが、近代的議会制の成立以前は、国王特権の一部として、その意思に反する議会に対して懲罰的に行使された。19世紀以降、議院内閣制が成立し、解散は、議会意思が有権者の意思を正しく反映していないと考えられる場合、内閣によって行われるようになった。解散事由について憲法的制限はないが、内閣不信任案の可決、内閣と議会との重要政策についての対立、新しい重要政策の実施について有権者の意思を問う必要がある場合などに行われる。解散は、議会と内閣の抑制・均衡を目的とする制度であるため、厳格な権力分立制を採用し、両府の独立制を尊重するアメリカ型大統領制では認められない。
日本では、明治憲法下で天皇による広範な解散権が認められていたが、現憲法では国民主権を基として議院内閣制を採用し、衆議院についてのみ解散を認めるが、解散権は実質的に内閣にある。解散の憲法上の根拠については学説が分かれる。その一つは、憲法第69条により、衆議院が内閣不信任案を可決、または信任案を否決した場合にのみ認められるとする。その二は、憲法第69条の場合に限らず、内閣に広く解散権を認めるが、その憲法上の根拠は、さらに、(1)天皇の国事行為として衆議院の解散を定める憲法第7条3項による、(2)憲法第65条の行政権に含まれる、(3)イギリス型議院内閣制を採用しているため明文の規定がなくとも内閣は解散権を行使しうる、の3説に分かれる。憲法第7条3項に解散の憲法上の根拠を求めるのがもっとも有力な学説であり、慣例もこれによっている。ただし天皇の国事行為は内閣の助言と承認を必要とするもので、実質的権限は内閣にある。院の決議による解散は認められない。
解散事由については憲法上の制限はなく、不信任案の可決、信任案の否決のほか、国会と内閣との重要政策についての対立、前回総選挙で争点とならなかった重要な国政上の問題が発生して民意を問う必要がある場合などが考えられるが、かならずしも以上の場合に限られない。
解散の効果として、衆議院議員は全員その身分を失うが、解散の日から40日以内に衆議院の総選挙を行い、その選挙の日から30日以内に国会を召集しなければならない。この国会において内閣は総辞職し、国会は新しく内閣総理大臣を指名する。
地方公共団体の議会についても解散の制度がある。その手続には3種類がある。その一は、住民の請求(有権者の3分の1以上)によって一般投票が行われ過半数の同意があった場合、その二は、議会が長に対して不信任決議を行った場合、または不信任とみなされる議決を行った場合の長による解散、その三は、議員の4分の3以上の出席のもとに5分の4以上の同意により解散の議決をした場合である。
[山野一美]
株式会社の法人格の消滅をきたすべき原因である法律事実。その解散事由として、会社法は、(1)定款が定めた存続期間の満了(471条1号)、(2)定款の定めた解散の事由の発生(471条2号)、(3)株主総会の決議(471条3号)、(4)会社の合併(吸収合併においては存続会社以外の会社、新設合併においては当事会社すべて。471条4号)、(5)破産手続開始の決定(471条5号)、(6)会社の解散を命ずる裁判(471条6号)をあげている。(1)(2)(3)は、2週間以内に登記が必要である(926条)。また、(7)最後の登記後12年を経過した会社(休眠会社)が、2か月以内に本店所在地を管轄する登記所にいまだ営業を廃止していない旨の届出をなすべき旨を法務大臣が官報に公告した場合に、この2か月の満了のときに、解散をしたものとみなされる(472条。ただし、当該期間内に当該休眠会社に関する登記がなされたときは、解散したものとはみなされない)。前述の解散を命ずる裁判には、解散命令と解散判決の二つの場合がある。前者は、公益を確保するために会社の存立を許すことができないと認めるときに、法務大臣または株主・債権者その他の利害関係人の申立てにより、裁判所が行う会社を解散させる命令である(824条1項、904条)。後者は、会社が業務の執行において著しく困難な状況に至り、会社に回復することができない損害を生じさせるとき、または会社財産の管理処分が著しく失当で、会社存立を危うくするときに、少数株主の請求により、裁判所がなす判決である(833条)。
[戸田修三・福原紀彦]
『高野総合会計事務所編『ケース別会社解散・清算の税務と会計』(2007・税務研究会出版局)』
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…このような一元主義型の議院内閣制は,1832年の第1次選挙法改正以後確立していくが,そこでは議院内閣制は,二権の均衡と抑制という要素を本質にするのではなく,民意を基礎とする議会が行政権の担い手である内閣をつくりだし,それをコントロールするという,議会優位の原則によって説明されるにふさわしいものとなる。議院内閣制において重要な意味をもつ解散権の意味も変化をとげる。解散権の実質上の主体は,君主ではなく内閣,とりわけ首相となり,その機能も議会に対する君主の武器ではなく,選挙民の意思表示による裁決を首相のイニシアティブによって求めるという意味のものとなってくる。…
…イギリスについていうならば,1832年の第1次選挙法改正による選挙権者の拡大以後,議会が〈法的主権〉をもつのに対し,〈政治的主権〉が選挙民の手中にうつっていく段階が,議会制民主主義の成立を意味する。その際,イギリスでは,二大政党制の伝統とむすびついて,下院選挙のときの〈選挙による委任〉が,政権担当政党のプログラムを選挙民の選択によって実質的に拘束する効果までが生じ,とくに首相による下院解散権の行使が,選挙民による裁決を促すものとして作用した。それにひきかえフランスでは,多党分立のため,また解散権不行使の慣行が第三共和政期に定着したこともあって,選挙民意思の反映は,選挙民と議会の関係までにとどまり,政権の所在とそのプログラムを実質的に拘束するところまではいかなかった。…
※「解散」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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