言語道断(読み)ゴンゴドウダン

デジタル大辞泉 「言語道断」の意味・読み・例文・類語

ごんご‐どうだん〔‐ダウダン〕【言語道断】

[名・形動]
仏語。奥深い真理言葉で表現できないこと。
言葉で言い表せないほどひどいこと。とんでもないこと。また、そのさま。もってのほか。「人のものを盗むとは言語道断だ」「言語道断な(の)行い」
言葉で言いようもないほど、りっぱなこと。また、そのさま。
「時々刻々の法施祈念、―の事どもなり」〈平家・一〉
表現しがたいほど驚嘆した気持ちを表す語。感動詞的に用いられる。
「―、ご兄弟のご心中を感じ申して」〈謡・春栄
[類語]不穏当不謹慎不心得心無い非常識不見識無分別由由しい目に余る成ってない若気の至り年甲斐も無い年寄りの冷や水狂的アブノーマル異常特異異状異例非常別条不自然変ちくりん変てこ変てこりん余りおかしい異様奇異奇妙みょう面妖めんよう不思議不可解不審奇怪奇態風変わり妙ちきりんけったいおかしなきてれつ珍奇新奇珍妙奇抜奇警奇想天外突飛ファンシー突拍子もない無茶めちゃむちゃくちゃめちゃくちゃめちゃめちゃ滅法法外無理乱暴無体理不尽非理不当不条理不合理非合理とんでもない途方もない途轍とてつもないとんだもってのほか大それた論外けしからん話にならない滅相もない気が知れない不始末不埒ふらち不逞ふてい罪作り邪道沙汰の限り沙汰のほか非道無道不所存あるまじきあろうことか一筋縄ではいかない横道身の程知らず不届き不届き至極

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精選版 日本国語大辞典 「言語道断」の意味・読み・例文・類語

ごんご‐どうだん‥ダウダン【言語道断】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ことばで表現する道が断たれるの意。
  2. ( ━する ) 仏語。表現する方法がなくなること。深遠な真理はことばで説明できないこと。言語断。
    1. [初出の実例]「実の法性は有とも云ふべからず、空とも云ふべからず、真如とも云ふべからず、不可思議なるが故に、言語道断なるが故也」(出典:法相二巻抄(1242か)上)
    2. [その他の文献]〔法華玄義‐二・下〕
  3. あまり立派で、ことばではそれが言い表わせないほどであること。また、ことばで説明できないほど重大なさま。
    1. [初出の実例]「御歌之為体、花実兼備首尾相得、不古人当世。心目所感言語道断者也」(出典明衡往来(11C中か)上本)
  4. あまりひどくてことばも出ないほどであること。きわめて悪くて、何ともいいようがないこと。とんでもないさま。もってのほか。
    1. [初出の実例]「且歎前別当狼藉之身、成此歓言上此由以後、於今不参上之咎、更言語道断也」(出典:東大寺文書‐天喜四年(1056)一一月一一日・伊賀守小野守経解)
    2. 「味方に気おくれさせつるは言語同断(ゴンゴドウダン)曲者」(出典:浄瑠璃・平仮名盛衰記(1739)一)
  5. ( 感動詞的に ) 並外れた物事に接して驚いた、という気持を表わす。形容詞形容動詞直後に続く場合が多い。とてつもなく。
    1. [初出の実例]「言語道断面白きことを仰せられ候、また人のご所望にて候」(出典:謡曲・花月(1423頃))

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四字熟語を知る辞典 「言語道断」の解説

言語道断

あまりひどくてことばも出ないほどであること。きわめて悪くて、何ともいいようがないこと。もってのほか。

[活用] ―だ・―な。

[使用例] 真夜中から、また例の激痛がはじまった。言語道断の痛みである[檀一雄*死んでも喇叭|1954]

[使用例] 布包みのなかは子供らしいが、こんな負んぶの仕方はない。この人混みのなかでは窒息するにきまっている。言語道断である[井伏鱒二黒い雨|1965~66]

[解説] 原義は、仏教などの深遠な真理が、ことばでは説明できないということ。「道」は「言う」または「方法」で、「道断」は言う方法がないこと。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「言語道断」の意味・わかりやすい解説

言語道断
ごんごどうだん

本来は仏教語で、「言語に述べるべき道が断たれる」という意をもち、ことばでは表現しがたい奥深い真理をいい、「言語同断」と書くこともある。転じて、話にならない、もってのほかのことという意をもつ。『法華経(ほけきょう)』に、「言語道断、物の拘(こう)する所にあらず」とあり、『瓔珞(ようらく)経』には、「言語道断、心行の滅する所」などとある。

[田所義行]

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