計り（読み）ハカリ

デジタル大辞泉

はかり【計り／量り】

１ 道具を用いて、物の長さ・量・重さなどをはかること。また、その結果。「―をごまかす」
２ 目当て。めど。
「いづこを―とも覚えざりければ、かへり入りて」〈伊勢・二一〉
３ 限度。あるかぎり。…のあらんかぎり。
「声を―にぞおめきさけび給ひける」〈平家・七〉

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

はかり【計・量・測・秤・謀・諮】

1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「はかる（計）」の連用形の名詞化 )
2. [ 一 ] ( 秤・称・衡 ) 物の重さをはかる道具の総称。てんびん、さおばかり、だいばかり、ばねばかりなどの種類がある。
   1. [初出の実例]「秤(ハカリ)の両の頭の亭等(ひと)しきがごとく」(出典：大智度論天安二年点（858）七八)
3. [ 二 ] ( 計・量・測・謀・諮 )
   1. ① 度量衡の量目。
      1. (イ) 秤、枡、ものさしなど計器で測定した大きさ。数量。
         1. [初出の実例]「須彌のはかりを尋ぬれば、縦広八万由旬なり」(出典：梁塵秘抄（1179頃）二)
      2. (ロ) 上代の重量の単位。→斤(きん)①。
         1. [初出の実例]「白銀(しろかね)三斤(みハカリ)八両(やころ)」(出典：釈日本紀（1274‐1301）二二)
      3. (ハ) 上代、糸の量をはかる単位。
         1. [初出の実例]「百済の佐平鬼室福信に、矢十万隻・糸五百斤(ハカリ)・〈略〉稲種(たなしね)三千斛賜ふ」(出典：日本書紀（720）天智元年正月（北野本訓）)
   2. ② 物事を解決しようとする分別。また、その方法。協議。計画。心算。工夫。はからい。
      1. [初出の実例]「有に住せず、空を行ぜずは、何の思ひ何の慮(ハカリ)をするにも、成功有らむや」(出典：天理本金剛般若経集験記平安初期点（850頃）)
   3. ③ 目当て。当てど。手掛り。多く「…をはかりと（に）」の形で、「…を目あてとして」の意で用いる。
      1. [初出の実例]「門に出でて、と見かう見みけれど、いづこをはかりとも覚えざりければ」(出典：伊勢物語（１０Ｃ前）二一)
   4. ④ 限り。際限。多く「…をはかりに」の形で「…のあらん限り」の意で用いる。
      1. [初出の実例]「人の聞くをもはばからず、声をはかりにぞをめき叫び給ひける」(出典：平家物語（１３Ｃ前）七)
   5. ⑤ 枡ではかって売る小形の鰯。
      1. [初出の実例]「小さい鰯のことをはかり、といひ、大ぶりなを、よみ、といひやす」(出典：滑稽本・街能噂（1835）一)
   6. ⑥ 「おのづくり（斤旁）」の古称。〔落葉集（1598）〕

出典　精選版 日本国語大辞典