デジタル大辞泉
「計算」の意味・読み・例文・類語
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計算
けいさん
数や式などについて、それらの和、差、積、商(ときには「商」と「余り」)、平方、平方根などを求める手順のこと。これは、与えられた記号列(数字や文字をある約束に基づいて並べたもの)を次々に書き換えていって、あらかじめ定められた形の記号列に到達する一連の記号書き換えの操作であると解される。書き換えには一定の規則があって、それらは数や式についての諸法則を反映したものである。したがって、計算は、法則をもとにした演繹(えんえき)推論を、記号列変形という操作に置き換えたものであるといえる。この意味で、式の計算のことを「式変形」(すなわち表現形式の変形)ということもある。ここで、あらかじめ定められた形の記号列と述べたが、これは十進(じっしん)記数法で書かれた数の場合には明らかであるが、分数や根号を含んだ数の場合には、1通りではない。計算の結果をその後何に用いるかで違ってくる。分数の場合、たとえば、次のように

三つの分数があるとする((1)(2)(3)は、すべて等しい分数である)。その大きさを示す目的であれば帯(たい)分数の形がよく((3)の形)、別の計算に用いるならば仮分数形がよい((2)の形)。これらのことを計算にあたってあらかじめ考えておく。
計算の進め方には、その手順に従えば、かならず所期の形の記号列に到達できるような手順があることが多い。この手順をアルゴリズムという。学校で学ぶ計算法はアルゴリズムの例である。アルゴリズムを組み立てる場合には、頭のなかで行う操作と、外部の記憶装置に記憶させる操作とが必要になる。外部の記憶装置をほとんど用いない方法を暗算、外部の記憶装置として書くことを用いる方法を筆算、そろばんをその目的に用いる方法を珠算という。筆算や珠算であっても、その一部としては暗算を利用する。とくに一位数についての暗算は、どの場合にも繰り返し利用される。どれだけを暗算とし、どんな部分をどんな形式に記録するかは、慣習によるもので、筆算の形式には、民族や国、すなわち慣習の違いによる相違がある。
近年著しく普及してきたコンピュータは、頭のなかの操作の大部分を機械装置のなかに取り込んだものであるといえる。与えられた数値が特別なものの場合には、その特徴を利用すると、正規のアルゴリズムより簡単でやさしい手順で答が求められることがある。十進数に25を掛けるのに100倍して4で割ったり、99を掛けるのに100倍して、その数を引いたりするのが、これである。このような計算法を簡便算という。
[島田 茂]
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普及版 字通
「計算」の読み・字形・画数・意味
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世界大百科事典内の計算の言及
【コンピューター】より
…最も広義には,計算を行う機械,すなわち計算機のこと。通常はディジタル電子回路を用いて,数値計算や論理計算を行う機械,すなわち電子計算機を指す。…
【情報科学】より
…
【情報科学への歩み】
情報科学が成立する以前から,人間は情報を利用してきた。計算,制御,通信,統計など,情報関係の学問を個別に築いてきたのであり,こうした分野が情報科学の成立を準備した。各分野の発展について少し述べてみよう。…
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