訴える(読み)ウッタエル

デジタル大辞泉 「訴える」の意味・読み・例文・類語

うった・える〔うつたへる〕【訴える】

[動ア下一][文]うった・ふ[ハ下二]《「うるた(訴)う」の音変化》
物事善悪正邪判定を求めて裁判所などの機関に申し出る。申し立てる。告訴する。「警察に―・える」
有識者などに物事の是非の判断を求めて、申し出る。「同級生の乱暴を先生に―・える」
他人の理解・同情・救いなどを強く期待して不満・不平・苦しみなどを言い知らせる。「腹痛を―・える」「空腹を―・える」
強い手段を用いて事を解決しようとする。「腕力に―・える」
感覚感情に働きかける。「良識に―・える」
[類語](1申し立てる提訴する告訴する告発する訴訟上訴する控訴する抗告する上告する反訴する/(2)(3直訴する直願する嘆願する哀訴する哀願する泣訴する愁訴する泣き付く口説くど泣き込む泣きすがる泣き落とす拝み倒す(人々に広く訴える)呼び掛けるアピールする申し出る届け出る願い出る申し込む

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「訴える」の意味・読み・例文・類語

うった・えるうったへる【訴】

  1. 〘 他動詞 ア行下一(ハ下一) 〙
    [ 文語形 ]うった・ふ 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙 ( 「うるたう」の変化した語 )
  2. 物事の理非曲直の判断を権威ある人、機関に求める。判決をこう。訴訟をする。うったゆ。
    1. [初出の実例]「其の尼、本より公(おほやけ)に申して行ふ事にても无かりければ、訴へ申す事も無かりけり」(出典:今昔物語集(1120頃か)三一)
  3. 事情を述べ伝える。また、要求や不平、うらみなどを人に告げる。申し出る。
    1. [初出の実例]「うったへ申したかたき討、外の人にはかまいなし」(出典:浄瑠璃・堀川波鼓(1706頃か)下)
  4. 神に告げて救助天罰などを祈る。
    1. [初出の実例]「抑義長が悪行を、汝等天に訴(ウッタヘ)て呪咀する事こそ心得ね」(出典:太平記(14C後)三六)
  5. 強い手段を使って、物事の解決をはかる。
    1. [初出の実例]「止むならんば干戈(かんくゎ)に訴へても名が正しいから敢て天地神明に耻づる事は無い」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵〉失意政治家)
  6. 感覚または心に強く働きかける。
    1. [初出の実例]「音楽唱歌は耳に訴(ウッタ)へ詩歌戯曲小説のたぐひは専ら心に訴(ウッタ)ふるを其本分となすがごとし」(出典:小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉上)

訴えるの補助注記

「うたう」と促音無表記形もみられる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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