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…病気という名前で呼ばれる個人的状態に対し,それを回復させるか,あるいは悪化を阻止しようとしてとられる行為をいう。その内容は,病気を診断し治療することであるが,実施にあたるのは近代的社会では法律的にその資格を独占的に与えられている医師が中心になるところから,医師の行う行為一般に拡大されることもある。たとえば,美容上の目的をもって行われる手術,避妊処置,人工妊娠中絶,人工受精,体外受精,性転換手術や性ホルモン注射療法などは,病気の回復を目的とはしないが,それらを実施するのに最も安全で確実な技術を提供できると期待されるし,また施設・器材も病気の医療のためのものと共用できることなどから,医師にそれらの行為を限定し,医療の定義のなかに入れられる。…
…医学はそれに答えられないため,近代社会においても,超自然的な解釈やそれにもとづく行動が失われないのである。さらに,医師は客観的な基準によることを建前にしているが,意識的あるいは無意識的に,社会的価値判断が影響して,医学的な管理下におくことを正当化するような診断を下すこともある。とくに客観的なデータが得がたい行動面での異変について,そのような事態が起こりやすい(これを〈ラベル付け〉ということがある)。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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