しょう セウ【詔】
〘名〙 令制で、
天皇の
命令を直接下達する
文書。
養老令の公式令
(くしきりょう)では
臨時の
大事は詔で、尋常の小事は勅で伝えると規定している。詔の
草案は
中務省の内記が作成し、これに
宸筆で御画日
(ぎょかくにち)(=天皇が日付の数字を書き入れる)を施し、
中務卿に賜う。これは中務省に案として留め、別に一通を写して
太政官に送り、大臣・大納言が自署を加え、宸筆で御画可
(ぎょかくか)(=「可」字を書き入れる)を施し、太政官に
施行(しぎょう)させる。詔は本来読み聞かせるのが主意であり、そのための
文体で書かれた詔を
宣命という。みことのり。→
詔勅。
しょう‐・す セウ‥【詔】
※
続日本紀‐天平八年(736)一一月戊寅「天皇臨
レ朝、詔授
二入唐副使従五位上中臣朝臣名代従四位下
一」
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デジタル大辞泉
「詔」の意味・読み・例文・類語
しょう【詔】[漢字項目]
[常用漢字] [音]ショウ(セウ)(呉)(漢) [訓]みことのり
天子の命令。みことのり。「詔書・詔勅/聖詔・大詔」
[名のり]のり
みこと‐のり【詔/▽勅】
《「御言宣」の意》
1 天皇の言葉。仰せ言。大御言。
2 古文書の様式の一。天皇の命令を直接に下す文書。養老令の公式令には詔と勅の二つの様式が規定されている。
しょう〔セウ〕【詔】
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詔
しょう
天皇の意志を公布する文書。詔書,みことのり。臨時の大事や大権の施行に関する勅旨を伝える場合に用いられ,中務省の内記が作成した。宣命 (せんみょう) も同義で,詔とともに「みことのり」と読み,いわゆる万葉がなによる国文体の文章 (宣命体) を用いた。平安時代中期頃から宣し読む「みことのり」を宣命といい,文章に書き表わすもの (漢文体のもの) を詔というようになった。料紙は黄麻紙 (おうまし) を用いた。 1907年の勅令でも,皇室の大事,大権施行は詔書をもって公布することが定められたが,47年この名称は廃止された。 (→詔勅 )
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しょう【詔】
天皇のことばそのもの,または天皇のことばを宣(の)べ伝えること,あるいはその文書。法隆寺金銅薬師像の推古15年(607)の銘に見える〈詔〉は天皇のことばを意味し,《日本書紀》大化元年(645)条に〈巨勢徳太臣,高麗使に詔す〉と見えるのは,詔が天皇のことばを宣べ伝える意味に用いられた例である。やがて令の制定により公文書制度が整えられるに従い,詔も文書として記されるようになり,天皇のことばをそのまま和文で表現する詔すなわち宣命と,中国風の漢文の詔の両様式が成立した。
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