精選版 日本国語大辞典 「論」の意味・読み・例文・類語
ろん【論】
ろん‐・ずる【論】
あげ‐つら・う ‥つらふ【論】
ろん・じる【論】
ろう‐・ず【論】
あげ‐つらい ‥つらひ【論】
ろん‐・ず【論】
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仏教の術語。サンスクリット語でアビダルマabhidharma、パーリ語でアビダンマabhidhammaという。部派仏教の個々の教義、教義体系、または論書を示す語。原始仏教において創始者釈尊の教説は法(教え)と律(教団規則)の二つに分類されていた。釈尊の滅後約100年して仏教教団は18~20の部派に分裂し、各部派は釈尊の法と律を分析・総合し詳細な研究を行い、膨大な論(アビダルマ)をつくり、互いに煩瑣(はんさ)な論争に従事した。ここに至り、法・律・論はそれぞれ経蔵(きょうぞう)・律蔵・論蔵にまとめられ三蔵(トリ・ピタカtri-piaka)が成立した。このうち論蔵(アビダルマ・ピタカ)こそが部派仏教のつくりあげたものであり、その特徴をよく示すものなのである。しかし釈尊の教説を分析・総合する傾向はすでに原始仏教経典のなかにみられ、そのうちとくにアビダルマカターabhidharma-kathā(法に関する議論の意)の語や、マートリカーmāt
kā(研究の題目の列記の意)などが、後のアビダルマの萌芽(ほうが)と考えられている。
アビダルマの原義はabhi(に対して)+dharma(釈尊の教え)より「釈尊の説いた法に関する研究」の意味であり、それゆえ「対法」とも漢訳される。しかしほかにabhi(優れた)+dharma(法)より「優れた法」という語義も現れるが、これはアビダルマが成立したのちにその優位性を示すために行われた解釈であろう。しかしこの第二の解釈は部派仏教の学匠たちが一般に抱いていた自信と情熱を示しているものらしく、『倶舎論(くしゃろん)』によれば「悟りを得るための無漏(むろ)の(汚れない)智慧(ちえ)こそが勝義のアビダルマであり、この智慧を得るための教えなどは世俗のアビダルマにすぎない」といっている。
論書としてのアビダルマは、説一切有部(せついっさいうぶ)とパーリ上座部のものが多く現存する。他の部派もおのおのの三蔵を伝持していたと思われるので論蔵も備えていたであろうが、上記2部派ほど整備されたものではなかったであろう。有部の現存する論書は、集異門足(しゅういもんそく)論、法蘊足(ほううんそく)論、施設(せせつ)論、識身足論、界身足論、品類足論、発智(ほっち)論の7論、その後成立した大毘婆沙(だいびばしゃ)論、雑心論、倶舎論などである。パーリ上座部のものとしては、法集論、分別論、論事、人施設論、界説論、双対論、発趣論の7論、その後成立のアッタサーリニーAtthasālinī、ビスッディマッガVisuddhimagga、アビダンマッタサンガハAbhidhammatthasangahaなどがある。これらは成立順序に従って内容の発展が認められる。なお他部派のものとしては舎利弗阿毘曇(しゃりほつあびどん)論、三弥底部(さんみていぶ)論、成実(じょうじつ)論などきわめてわずかであり、他部派の思想は上記2部派の論書の引用からうかがえるのみである。
なお、書名に付される論(たとえば倶舎論、大智度論などの論)はサンスクリット語でシャーストラśāstraといい、大乗仏教の論書にもつねに用いられる語であるから、いま問題としている論(アビダルマ)とは別のものであることは注意されねばならない。
[加藤純章]
『桜部建著『倶舎論の研究』(1969・法蔵館)』
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