識字運動(読み)しきじうんどう

百科事典マイペディア 「識字運動」の意味・わかりやすい解説

識字運動【しきじうんどう】

すべての人が文字の読み書きができるようになることをめざす大衆的な学習・文化運動。20世紀最初の識字運動は,ソ連においてレーニン指導の下ですすめられ,また中国では抗日戦争中から開始された。第2次大戦後は,民族解放・独立とともに,キューバミャンマーベトナムイラクエチオピアなど多くの国で運動が展開された。日本では歴史的にも,また近代以降は学校教育の整備によって識字率は高いが,その裏側で社会的差別のもとで貧困な生活を強いられてきた被差別部落の人々に対する識字教育はなおざりにされてきた。部落解放運動のなかで,1960年代以降,人間的権利自覚に立つ識字運動が展開され,これは公教育における同和教育にも影響をあたえた。
→関連項目識字率略字

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世界大百科事典 第2版 「識字運動」の意味・わかりやすい解説

しきじうんどう【識字運動】

すべての人が文字の読み書きができるようになることをめざす大衆的な学習・文化運動。非識字率は年々低くなってはいるが,地域によってちがい,1995年現在(ユネスコ統計),欧米地域,日本などではほとんど1%以下であるのに対し,アラブアフリカなどでは50%を超えている国も多い。20世紀最初の識字運動はソ連において,文盲が多いところには国民のための政治はないというレーニンの指導下にすすめられ,また中国では抗日戦のさなか,巡回学校・小先生(字を覚えた子どもがおとなに教える)など,さまざまな創意くふうをこらした運動が展開された。

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