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江戸時代における大名類別の一つ。譜代とは系図正しく,その家を継承してきた者の意。転じて世襲的に主人に奉公する者を指すようになった。武士の間では鎌倉時代以降発生し,世襲的な主従関係をもつ家臣を譜代といった。江戸時代においては,関ヶ原の戦以降,新しく徳川氏に服属した外様大名に対し,徳川氏の家臣団のなかから大名に取り立てられた者を譜代大名とよんだ。
徳川家康は覇権確立以降,徳川一門(親藩)とともにさかんに譜代大名を取り立て,関東をはじめ東海,東山および周辺諸国に配置したが,大坂落城後は畿内を掌中に収め,大坂およびその周辺諸国に配置した。こうした親藩・譜代大名の拡大政策は,その後歴代将軍によって強力に推進され,2代将軍秀忠は畿外と東北を中心に,3代将軍家光は九州を中心とする中国,四国の西国に親藩・譜代大名を配置した。その数は初期3代の将軍の間に,親藩22名に対し譜代大名は実に151名(改易を含まず)に達し,徳川権力を支える強力な基盤となった。最高は井伊氏の35万石。5万石以下の小大名が多い。しかし譜代大名は全国の要地に配置され,老中,若年寄,寺社奉行,所司代,大坂城代などの幕府の要職を独占し,幕政を執行する重要な立場にあった。そのため,外様大名に比較して転封(国替)が著しく,しかもその所領は天領や旗本領との間に統廃合,切替えが行われたため,著しく分散知行化(非領国型)するに至った。例えば1664年(寛文4)武蔵忍(おし)藩の所領は,老中阿部忠秋の所領であったが,その所領高8万石は,武蔵のうち埼玉(35ヵ村),大里(31ヵ村),秩父(27ヵ村),足立(13ヵ村),幡羅(2ヵ村),男衾(9ヵ村)の6郡のほか相模三浦郡(8ヵ村),上野新田郡(7ヵ村)に存在した。幕府は親藩とともに譜代大名といえども,世嗣断絶ないし幕法違反の場合は改易し,幕藩体制の維持につとめた。
執筆者:藤野 保
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江戸時代における大名類別の一つ。世襲的な主従関係をもつ家臣を譜代といい、鎌倉時代以降武士の間で発生した。江戸時代においては、関ヶ原の戦い以降、新しく徳川氏に帰属した外様(とざま)大名に対し、徳川氏の家臣団のなかから大名に取り立てられた者を譜代大名と称した。徳川家康による譜代大名の拡大政策は、歴代将軍によって強力に推進され、徳川氏を支える強力な基盤となった。最高は井伊氏の35万石。5万石以下の小大名が多い。しかし、譜代大名は全国の要地に配置され、老中・若年寄(わかどしより)、寺社奉行(ぶぎょう)、京都所司代(しょしだい)、大坂城代などの要職を独占し、幕政を執行する重要な立場にあった。
[藤野 保]
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江戸時代の大名の家格を将軍との関係を中心として分類する場合のまとまりの一つ。徳川氏の三河以来関ケ原の戦以前の家臣団のなかから,大名にとりたてられた者。徳川氏は外様大名との対抗上,譜代大名の創出と関東・畿内を中心とした全国要地への配置を進め,しだいに全大名数の過半を占めるようになった。ほとんどの場合,老中以下の幕府要職には譜代大名が任じられた。規模は35万石の井伊氏を最高として,大部分が5万石以下の小大名。幕府の役職就任などにともない,江戸後期まで転封が多く,また幕領や旗本領との入組みで分散知行の形態となり,外様大名にくらべて自領の一円的支配は困難であった。
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…しかし19世紀になると諸大名が独自に国産の開発にのり出したことや,さらに開港後の外国貿易による混乱を統制しきれず,崩壊の一因となることを防げなかった。
【組織】
幕府は譜代大名と旗本,御家人から成る軍事組織であり,その長である将軍が全国を行政的に支配するものであった。大名の所領支配は形式上は独自性が認められていたが,実質的には大名は幕府の意図を忖度し,それにそった施政を行った。…
…幕府自身の囲米としては,幕初から年貢米の一部が米蔵に蓄えられており,1843年(天保14)には江戸浅草御蔵に14万石のほか小菅,大坂,二条,駿府など合計55万石であった。大名には,1633年(寛永10)以来,城詰米と称して宇都宮,松本,諏訪,膳所藩など要地の譜代大名に幕府米の貯蔵と詰替えを命じている。これらは幕府の全国支配の一環として軍事上や飢饉対策,米価調節に利用された。…
…又者(またもの)あるいは又家来という意味である。
[大名の類別]
大名は,その経歴,取立てによって旧族大名,織豊大名,徳川系大名(徳川一門=親藩,譜代大名)に分類される。旧族大名は戦国大名から近世大名に転化したもの。…
…江戸時代における大名類別の一つ。徳川氏は関ヶ原の戦による覇権確立以降,自己の一門,家臣のなかから多数の大名を取り立てたが,これを親藩,譜代大名とよんだのに対し,旧族大名や豊臣系の大名で,新しく徳川氏に服属した大名を外様大名と称した。なかには外様大名の子弟で譜代大名になったものもある。…
※「譜代大名」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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