精選版 日本国語大辞典 「豪農」の意味・読み・例文・類語
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江戸末期から明治前期にかけて存在した上層農民。多くの田畑山林を所有し、貸付地主としての側面をもつとともに、地主手作り経営を行い、あるいは農村小工業の経営に従事し、さらに村役人や区戸長などを務めるなど、地域社会の動向に重要な関連を維持していた。豪農の土地所有の経過は多様であるが、とくに江戸時代の中期以降、商品貨幣経済の進展を背景に、農民の階層分化が進行し、豪農とよばれる上層農民が増加することとなった。幕末から明治前期にかけて、雇用労働力に依存する、5~6町歩から10町歩程度の規模をもつ豪農経営が全国各地に存在した。豪農の勧業型地主としての側面を示すものであり、新種苗や新式農具の導入に熱意をもち、養蚕・製糸などの事業に進出する者も多かった。徳富蘇峰(とくとみそほう)・蘆花(ろか)兄弟の生家、熊本県の徳富家など、この時期における勧業型地主・豪農の典型であった。豪農は明治10年代に高揚をみた自由民権運動においても、「豪農民権」の呼称に示されるように、運動に関係する者が多く、群馬県の武藤幸逸(こういつ)、福井県の杉田定一、奈良県の土倉庄三郎(どくらしょうざぶろう)などがその例であった。
彼らは地主として農業生産にかかわり、製糸業や織物業など地方的工業に関連をもつとともに、地方の民生についても豊富な経験と抱負とをもつ人々であった。地租をはじめとする諸税の動向に強い関心を寄せ、国政について彼らの主張を反映させる場として、民会や国会の開設を要求する者が多かった。民権運動を通じて藩閥政府を批判し、地方自治の確立を要求する姿勢がみいだされる。しかし明治後期より地主的土地所有制度が確立され、豪農の生産力的性格は急速に後退するに至った。土地を集積して小作に付するという有利な状況が一般化され、豪農層は生産過程から遊離し、単なる地代取得者としての性格を深化せしめていくこととなった。
[伝田 功]
『伝田功著『豪農』(教育社歴史新書)』
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…質地として土地を集め,寄生地主に成長するものもあった。こうした点で在郷商人は豪農であり,在郷商人というときは豪農の商人的側面を見たものであった。解体期の幕藩権力は,在郷商人が持つ地方を支配する力を認めて,彼らを支配の末端組織にとり入れた。…
…このように,村役人が村役人としての機能と結びついて,手作規模を越える質地の集積を行い,商業的・金融的機能を営みつつ,手作経営を営む。このような質地地主を,豪農と呼ぶのである。 各地に地域的発達の差を内包する近世農業の中で,先進地農業の動向を大坂周辺農村で代表させることができる。…
…1827年(文政10)から29年にかけて,関東の農村を対象として実施された支配強化のための改革。19世紀前半の文化・文政期(1804‐30)の関東の農村は小農経営が解体し,高利貸資本としての豪農経営が展開する一方,土地を失い没落する農民が多数発生し,彼らが無宿人や渡世人として横行するようになった。このような遊民層の取締りを任務として設置されたのが1805年の関東取締出役であり,さらに,この取締り支配の方向を徹底させるために行われたのが文政改革である。…
※「豪農」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
少子化とは、出生率の低下に伴って、将来の人口が長期的に減少する現象をさす。日本の出生率は、第二次世界大戦後、継続的に低下し、すでに先進国のうちでも低い水準となっている。出生率の低下は、直接には人々の意...
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