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デジタル大辞泉
「財産分与」の意味・読み・例文・類語
ざいさん‐ぶんよ【財産分与】
1 離婚した夫婦の一方が、他方に対して財産を分与すること。その請求は離婚後2年以内にしなければならない。
2 ⇒相続財産分与
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財産分与【ざいさんぶんよ】
離婚をした者の一方(通常は夫)が他方(通常は妻)に対して財産を分与すること。まず当事者で協議をするが,協議が調わないときは家庭裁判所が一切の事情を考慮して分与について決定する(民法768条)。婚姻生活中に夫婦の協力によって取得した事実上の共有財産(夫婦財産制)の分配が中心であるが,そのほかに離婚後の妻の扶養料や子の養育費,また離婚慰謝料などを含むことがある(判例上,財産分与に慰謝料も含めて請求してもよいし,慰謝料を含めず別個に請求してもよいとされている)。戦後の民法改正によって規定され,従来は,妻の離婚の自由を保障するための離婚後扶養という弱者保護的な意味や有責配偶者の損害賠償責任の追及といった側面が強かったが,最近ではむしろ共有財産の清算という機能が強調されるようになってきている。
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財産分与
ざいさんぶんよ
離婚をした者の一方が他方に対して財産を分与すること(民法768条)。当事者間の協議で財産分与の額・方法などを定めるのが原則であるが、協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、家庭裁判所に申し出て、協議のかわりの処分をしてもらうことができる。ただし、これは離婚後2年以内にしなければならない。財産分与は、夫婦が結婚生活中にその協力によって得た財産の分配という性質を中心として、それに離婚後生活に困る配偶者の扶養という性質が付け加わるが、そのほか実際の財産分与にあたっては、離婚について有責の配偶者から他方への慰謝料の支払いという内容のものも含ませられることもあり、その取扱いはかならずしも一定していない。分与は、金銭で支払ってもよいし、また、不動産を分与するなどの現物の給付でもよい。金銭で支払う場合は、一括払いが原則であるが、分割払いも認められる。この制度は、第二次世界大戦後の民法改正の際に創設されたもので、離婚後の妻の生活を保障し、実質的に妻の離婚の自由を確保する役割を果たしている。
[高橋康之]
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財産分与
ざいさんぶんよ
離婚した当事者の一方が他方に対して財産を分与することをいう (民法 768,771) 。その性質については説が分れているが,一般には,夫婦が婚姻中に夫婦の協力によって取得した財産を分配して清算することを主眼とし,その他経済的弱者 (多くは妻) に対する扶養料も含み,ときとして離婚有責者に対する損害賠償の意味も含むものとされている。分与の具体的内容は当事者の協議によって定められ,協議がととのわないときは家庭裁判所の審判によって確定される。ただし,審判の請求は離婚後2年を経過するとできなくなる (768条2項) 。
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知恵蔵
「財産分与」の解説
財産分与
離婚した一方は、他方に対して財産を分与するよう請求できる。これは、経済力の弱い一方の、離婚後の生活を保護する制度。夫婦が婚姻中に協力して蓄積した財産(多くは夫名義)を、寄与した割合に応じて清算(分割)する。当事者の協議で定めるが、合意が成立しない時は、家庭裁判所が事情を考慮して、分与すべきか否か、額、方法などを定める。財産分与の請求は離婚後2年以内。また、婚姻破綻の原因を作った有責配偶者に対して、他方は離婚による精神的苦痛の慰謝料を請求できる。離婚後3年間で時効となる。
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ざいさんぶんよ【財産分与】
離婚をした者の一方は,相手方に対して財産分与を請求できる(民法768条)。民法旧規定にはなく,戦後の改正によって新設された。英米法の〈アリモニーalimony〉にかなり類似しているが,アリモニーが再婚もしくは就職によって失権するなど,離婚後の扶養を趣旨としているのに対し,財産分与はそれに限られない点において異なる。なお,学説・判例ともに,内縁解消の場合にも,財産分与の規定が準用されるとの立場をとっている。
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