政治や社会に対して影響力をもつ,大資本を中心とした実業家の社会のことをいう。そのような力をもつ実業家を財界人という。財界の意志を代表するのが財界4団体(経済4団体ともいう)で,経済団体連合会(経団連),日本商工会議所,日本経営者団体連盟(日経連),経済同友会(同友会)をいい,団体の長4人が財界をリードする首脳ということになる。なかでも経団連は〈財界総本山〉,経団連の会長を〈財界総理〉と呼ぶことがあるように,4団体のなかでも影響力が最も大きい。なお2002年5月,経団連と日経連は統合して日本経済団体連合会(日本経団連)となった。財界の役割は経済界全体(総資本)の利益のために,その意見を政治や社会に反映し,有利な状況をつくり出すことである。財界人が経営者と違う点は,経営者がおもに自分の企業の立場や自分の企業が属する業種のために行動するのに対し,財界人はそれを超えた経済界全体の立場でものを考え,発言する点である。個別企業や個別業種の立場は往々にして相互に衝突するので,その調整役として経済界内部の調整をはかることは財界人の役割である。
財界がその役割を果たすための一つの方策が政治への働きかけである。そのための第1の手段は政治献金であり,有力業界団体や大企業の献金は経団連の調整を経て,国民政治協会(〈国民協会〉の項参照)を通すなどして自民党などに流される。第2の手段は財界人と政治家とのつながりである。1955年の保守合同をはじめ政権交代に際しては,財界の意志がなんらかの形で働いている。また政府の経済政策(たとえば公定歩合の引上げ・引下げ)に対する財界人の発言は大きな影響力をもつ。
財界の抱える問題としては,各団体の首脳が非常に高齢化して,いわゆる長老支配であることと,財界総本山の経団連についてとくにいわれる重化学工業偏重とがある。なお79年に経団連に大手スーパー5社が加入し,多少なりと時代の波が押し寄せている。
執筆者:原田 幸裕
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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