財界(読み)ザイカイ

デジタル大辞泉 「財界」の意味・読み・例文・類語

ざい‐かい【財界】

大企業中心とした実業家が構成している社会経済界。「財界の大立物」「財界人」
[類語]政界官界学界法曹界角界球界芸能界花柳界楽界劇界業界

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「財界」の意味・読み・例文・類語

ざい‐かい【財界】

  1. 〘 名詞 〙 政治や社会に対して影響力をもつ、大企業を中心とする実業家や金融業者の世界。経済界。
    1. [初出の実例]「津島宰太郎君が財界に勢力あるは動かすべからざるもんだし」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵〉投機)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「財界」の意味・わかりやすい解説

財界 (ざいかい)

政治や社会に対して影響力をもつ,大資本を中心とした実業家の社会のことをいう。そのような力をもつ実業家を財界人という。財界の意志を代表するのが財界4団体(経済4団体ともいう)で,経済団体連合会経団連),日本商工会議所日本経営者団体連盟日経連),経済同友会(同友会)をいい,団体の長4人が財界をリードする首脳ということになる。なかでも経団連は〈財界総本山〉,経団連の会長を〈財界総理〉と呼ぶことがあるように,4団体のなかでも影響力が最も大きい。なお2002年5月,経団連と日経連は統合して日本経済団体連合会(日本経団連)となった。財界の役割は経済界全体(総資本)の利益のために,その意見を政治や社会に反映し,有利な状況をつくり出すことである。財界人が経営者と違う点は,経営者がおもに自分の企業の立場や自分の企業が属する業種のために行動するのに対し,財界人はそれを超えた経済界全体の立場でものを考え,発言する点である。個別企業や個別業種の立場は往々にして相互に衝突するので,その調整役として経済界内部の調整をはかることは財界人の役割である。

 財界がその役割を果たすための一つの方策が政治への働きかけである。そのための第1の手段政治献金であり,有力業界団体や大企業の献金は経団連の調整を経て,国民政治協会(〈国民協会〉の項参照)を通すなどして自民党などに流される。第2の手段は財界人と政治家とのつながりである。1955年の保守合同をはじめ政権交代に際しては,財界の意志がなんらかの形で働いている。また政府の経済政策(たとえば公定歩合の引上げ・引下げ)に対する財界人の発言は大きな影響力をもつ。

 財界の抱える問題としては,各団体の首脳が非常に高齢化して,いわゆる長老支配であることと,財界総本山の経団連についてとくにいわれる重化学工業偏重とがある。なお79年に経団連に大手スーパー5社が加入し,多少なりと時代の波が押し寄せている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「財界」の意味・わかりやすい解説

財界
ざいかい

国や地方レベルで,経営者が企業の枠をこえた交流と活動を行う場。一般に中央財界と地方財界に分かれ,中央では経団連,日商,日経連,経済同友会の財界四団体,地方では各主要経済団体がその実質的な舞台となる。本来財界は,個々の企業,業界の利害をこえ,経済界全体の立場から国内外の諸問題に当ることを任務とする。実際政権党への政治献金や官僚機構との接触といった政治関与,使節団派遣や経済人同士の定期協議といった財界外交などその活動は,経済界全体にとり良好な環境の維持に資するものとして行われてきた。しかし近年の産業構造転換や国際経済摩擦などで経済界内部での利害調整は難しく,また労使関係が安定し,個別企業が政官各方面と独自の関係を強めるに従い,財界の影響力にかげりをみせている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「財界」の解説

財界

株式会社財界研究所が発行するビジネス・マネー誌。政治、経済、社会などの情報を紹介。隔週火曜日発売。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android