責（読み）セキ

デジタル大辞泉

せき【責】［漢字項目］

［音］セキ（慣）　シャク（呉）　［訓］せめる
［学習漢字］5年
〈セキ〉
１ 罪や手落ちをとがめる。せめたてる。「詰責・譴責けんせき・自責・𠮟責しっせき・面責・問責」
２ 果たさなければ負い目となる事柄。「責任・責務／引責・言責・重責・職責・文責」
〈シャク〉罪や手落ちをとがめる。「呵責かしゃく」

せき【責】

当然果たすべきつとめ。責任。せめ。「会長の責を果たす」

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

せめ【責】

1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「せめる（責）」の連用形の名詞化 )
2. ① 責めること。苦しめること。とがめ。呵責(かしゃく)。
   1. [初出の実例]「御志深かりける御中を背(そむ)きて、あやしき山賤(やまがつ)の中に出家し給へる事、かへりては仏のせめ添ふべき事なるをなん承り驚き侍る」(出典：源氏物語（1001‐14頃）夢浮橋)
   2. 「或は父兄の道を違へ、或は主従の義を背(そむ)く故(ゆゑ)に天の譴(セメ)あるに非(あら)ずや」(出典：太平記（１４Ｃ後）三七)
3. ② 負債。また、負い目。
   1. [初出の実例]「責(セメ)を負へるとき、責主之(これ)を索めば、当(まさ)に歓喜すべし」(出典：大智度論平安初期点（850頃か）)
4. ③ 責任。
   1. [初出の実例]「何ぞ必ずしも責を一二執政者の過失に帰すべけんや」(出典：日本開化小史（1877‐82）〈田口卯吉〉六)
5. ④ 拷問。
   1. [初出の実例]「井にふたをし、火に水をかけ、水火のせめにおよぶ」(出典：平家物語（１３Ｃ前）二)
   2. 「剣の山の責(セメ)一等を許彼が好む処の釜いりに仕らん」(出典：談義本・根無草（1763‐69）前)
6. ⑤ 日本音楽および日本舞踊などで、終曲に近く、高声に急調子になる部分。責念仏などと用いる。
   1. [初出の実例]「舞のをはりのせめ、如何」(出典：名語記（1275）六)
7. ⑥ 能狂言の型の一つ。閻魔(えんま)大王やその手下の鬼が、亡者を責めて追いたてる動作を表現したもの。笛・大小の鼓(つづみ)・太鼓の囃子(はやし)がつく。
   1. [初出の実例]「『いかにざい人、いそげとこそ』せめ一だん」(出典：虎明本狂言・朝比奈（室町末‐近世初）)
8. ⑦ 篳篥(ひちりき)・刀のさや・扇子・からかさなどの端からはめて留めて置くたがのような輪。
   1. [初出の実例]「喘者吹出吹終責音、不_レ合_二拍子指使_一」(出典：十操記（870‐924頃）)
9. ⑧ 笛の吹き方の一つ。強く吹いて、高い澄んだ音を出すこと。
10. ⑨ 浪曲で、けんか・火事などの緊迫した情景の描写に用いる節。

せき【責】

1. 〘 名詞 〙
2. ① しなければならないつとめ。義務。責任。せめ。
   1. [初出の実例]「対米最前線の護国の大任にあります事誠に責重く任大なるを痛感し」(出典：楡家の人びと（1964）〈北杜夫〉三)
3. ② 呵責。厳しくとがめてしかること。
   1. [初出の実例]「左少将伊成〈入道中納言義懐息也〉被_二陵礫_一之間。不_レ堪_二其責_一」(出典：古事談（1212‐15頃）一)

出典　精選版 日本国語大辞典