買う(読み)カウ

デジタル大辞泉 「買う」の意味・読み・例文・類語

か・う〔かふ〕【買う】

[動ワ五(ハ四)]
代金を払って自分の所有とする。「欲しい物を―・う」「権利を―・う」⇔売る
自分のしたことがもとになって、好ましくないことを身に負う。招く。「人の恨みを―・う」「反感を―・う」
進んで引き受ける。「売られた喧嘩けんかを―・う」
価値を認める。「努力を―・う」
金銭を払って売春婦などと遊興する。「女を―・う」
[可能]かえる
[下接句]一笑を買う恨みを買う歓心を買う喧嘩けんかを買う児孫のために美田を買わず失笑を買う死馬しばの骨を五百金に買う飲む打つ買う一役買う顰蹙ひんしゅくを買う不評を買う
[類語](1購入購買購う買い取る買い上げる買い入れる買い込む買い受ける買い切る買い戻す買い漁る買い叩く仕入れる買収/(4認める評価する一目置く目する買い被る

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「買う」の意味・読み・例文・類語

か・うかふ【買・代・換】

  1. 〘 他動詞 ワ行五(ハ四) 〙
  2. あるものと他のものとを交換する。代価を払って品物等を受け取る。あがなう。⇔売る
    1. [初出の実例]「旨(むま)酒餌(ゑ)香の市に直以て買(カハ)(ぬ)」(出典:日本書紀(720)顕宗即位前・歌謡(図書寮本訓))
    2. 「西の市にただひとり出でてめ並べず買(かひ)てし絹の商(あき)じこりかも」(出典:万葉集(8C後)七・一二六四)
  3. 抽象的な何かを求める。
    1. (イ) 自分で招きよせる。多く、自分のしたことによって好ましくない結果を身に受けることにいう。「怒りを買う」
      1. [初出の実例]「財多ければ〈略〉害をかひ、累(わづらひ)を招く媒(なかだち)なり」(出典:徒然草(1331頃)三八)
      2. 「其物語のうちに加へて笑を買(カ)はまく望める事あり」(出典:小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉下)
    2. (ロ) 相手の望むことを進んで受け入れる。
      1. [初出の実例]「買(カフ)からは其方の喧𠵅(けんくゎ)も我れが物」(出典:雑俳・楊梅(1702))
  4. 代金を払って遊女芸者などをあげて遊ぶ。
    1. [初出の実例]「恋しやと見にこそ来たれ上銭(あげせん)の金は持たずもなりにけるかな、と云ひてなむ買ける」(出典:仮名草子仁勢物語(1639‐40頃)下)
  5. 人を雇う。
    1. [初出の実例]「大路(おほち)のかたにめのとかはんとてすぐる者あり」(出典:あさぢが露(13C後))
  6. 評価して価値を認める。
    1. [初出の実例]「一つ俺の料簡を忖度(カッ)て呉れ」(出典:落語・性和善(1891)〈三代目春風亭柳枝〉)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

五節舞

日本の上代芸能の一つ。宮廷で舞われる女舞。大歌 (おおうた) の一つの五節歌曲を伴奏に舞われる。天武天皇が神女の歌舞をみて作ったと伝えられるが,元来は農耕に関係する田舞に発するといわれる。五節の意味は...

五節舞の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android