費える(読み)ツイエル

デジタル大辞泉 「費える」の意味・読み・例文・類語

つい・える〔つひえる〕【費える/弊える/潰える】

[動ア下一][文]つひ・ゆ[ヤ下二]
財物などが使われてひどく減る。「投機家産が―・える」
時間労力がむだに使われる。「いたずらに歳月が―・える」
(潰える)つぶれてすっかりだめになる。崩壊する。「災害に―・えた街」「計画も夢と―・えた」
(潰える)戦いでことごとく負けてしまう。
ここに於て南軍おおいに―・え」〈露伴運命
やつれ衰える。
年頃いたう―・えたれど」〈蓬生
[類語]崩れる潰れる破れる雪崩なだれる崩落する崩壊する瓦解がかいする土崩どほう瓦解する

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「費える」の意味・読み・例文・類語

つい・えるつひえる【費・弊・潰】

  1. 〘 自動詞 ア行下一(ヤ下一) 〙
    [ 文語形 ]つひ・ゆ 〘 自動詞 ヤ行下二段活用 〙
  2. くずれこわれる。敗れる。
    1. [初出の実例]「猛き力盛りなる謀は、日々に費(ツヒえ)衰へぬ」(出典:東大寺諷誦文平安初期点(830頃))
    2. 「周を攻るとて兵はついへて」(出典:史記抄(1477)三)
  3. 疲れる。疲弊する。
    1. [初出の実例]「而うして介冑(いくさ)の士(ひととも)、疲弊(ツヒユル)こと無(な)きにあらず」(出典:日本書紀(720)神武即位前戊午一一月(北野本訓))
  4. やせる。衰える。よわる。
    1. [初出の実例]「忽然に皆枯(か)れ悴(ツヒエ)て」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)八)
    2. 「年頃、いたう、つゐえたれど、猶、物清げに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蓬生)
  5. 乏しくなる。へる。つかってなくなる。
    1. [初出の実例]「都(かつ)て益(まさ)る所無くして損(おと)り費(ツヒユル)こと極めて甚し」(出典:日本書紀(720)皇極三年七月(図書寮本訓))
  6. いたずらに経過する。時間が過ぎる。
    1. [初出の実例]「それに時間が費(ツイエ)て」(出典:交易問答(1869)〈加藤弘之〉上)

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