スタンダールの長編小説。1830年刊。素材は1827年に起きた元神学生の殺人未遂事件。才能に恵まれ野心に燃える貧しい青年の立身出世とその挫折の物語を通じ,王政復古期(1814-30)という一時代を描破し得た小説として,作者の代表作とされる。精緻な心理小説としての評価もさることながら,政治小説・社会小説としての側面も見落とせず,〈1830年年代史〉という副題は意味深い。時代を活写する細部に富むのは事実だが,それはバルザック風の社会のパノラマではなく,たとえば主人公の独白の多用という一事からも察せられるように,視点を局限し,いっさいを作中人物の意識というレンズを通して描こうとする〈主観的リアリズム〉にこそ,作者の独創性は求められよう。作者の意図・方法の斬新さは,無愛想な文体のためもあって当時は理解されず,19世紀後半をまって再評価されることになる。題名については諸説があるが,赤を帝政時代の栄光(ないし軍服),黒を王政復古期の暗黒(ないし僧服)の象徴と見る説が有力である。
執筆者:冨永 明夫
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