競争によって各種生産部門の特殊的利潤は一般的利潤率のもとに平均化されるが、同一生産部門では個別資本の商品は単一の生産価格で販売される結果、同一生産部門の相異なる生産条件をもつ各個別資本では、標準的生産条件よりも優れた生産条件の個別資本は平均以上の利潤が生じ、生産条件の劣悪な個別資本では平均以下の利潤しか得られない。それは、それぞれの費用価格が異なるからである。このように、新生産方法の採用など、生産条件の優位による平均利潤を上回る利潤部分を超過利潤とよぶ。この場合、売買の偶然的相違、すなわち市場価格の変動などで生まれる超過は、競争の過程で解消してしまうので、経済学上は概念化や法則化されない。この有利な生産条件は、新生産方法の一般的普及化とともに平均的生産条件となるから、その場合にはこの超過利潤はなくなる。したがって超過利潤は一時的、経過的なものであるが、他方、資本はこの超過利潤をめぐって激しく競争する。このように超過利潤は、特別剰余価値の現象形態である。
しかし、この超過利潤が、長期的、継続的に成立する特殊形態がある。第一は、カルテル、トラストなどのような人為的独占や、特殊な果物の栽培などにみられる自然的独占の結果として生じる超過利潤である。第二は、農業生産における豊度のように、超過利潤が資本と労働そのものから発生して固定化され、均等化が阻害される結果とか、また、他部門に比べ資本の有機的構成の低い農業部門で生じた剰余価値が、土地所有によって平均利潤に均等化されなかったりする結果生じる超過利潤(この場合は地代となる)である。差額地代(豊度の違いで存在する場合)、絶対地代(資本の有機的構成が低いという違いで存在する場合)といわれるものがそれである。
[海道勝稔]
…この点に関して前者は費用項目の中に含められるのが普通であるが,後者は広義の利潤を構成すると考えられている。経済学では広義の利潤を時によって正常利潤と超過利潤と呼ばれる二つの部分に分けて考えるのが通例である。
[正常利潤と超過利潤]
正常利潤とは事業を継続していくために必要とされる標準的な利潤のことであり,利潤の中でも費用としての性格をもっている部分である。…
※「超過利潤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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