足摺岬(読み)アシズリミサキ

デジタル大辞泉 「足摺岬」の意味・読み・例文・類語

あしずり‐みさき【足摺岬】

高知県南西部、四国最南端の岬。突端には四国八十八箇所第38番の金剛福寺がある。蹉跎さだ岬。
田宮虎彦短編小説。昭和24年(1949)「人間」誌に発表。自殺志願の青年が岬を訪れるところから始まる物語。同作を表題作とする作品集は昭和27年(1952)刊行。また、本作および「絵本」などをもとにした映画作品は、新藤兼人脚色吉村公三郎監督で昭和29年(1954)公開。

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精選版 日本国語大辞典 「足摺岬」の意味・読み・例文・類語

あしずり‐みさき【足摺岬】

  1. 高知県南西部、四国最南端の岬。足摺宇和海国立公園の代表的な景勝地で、四国八八か所第三八番札所金剛福寺がある。足摺崎。蹉跎(さだ)岬。

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改訂新版 世界大百科事典 「足摺岬」の意味・わかりやすい解説

足摺岬 (あしずりみさき)

高知県南西端の足摺半島先端の岬。土佐清水市に属し,室戸岬と相対して土佐湾をいだく。蹉跎岬,足摺崎とも呼ばれてきたが,田宮虎彦の同名の小説(1949)の影響もあって足摺岬の呼称が一般化した。岬一帯は花コウ岩からなり,3段の海岸段丘発達して岬端は約80mの海食崖をなし,下部には海食洞もみられる。植生はトベラ,ハマヒサカキ,ヤブツバキなどの常緑広葉樹のほか,リュビンタイやクワズイモなどの草本,ビロウアコウなどの亜熱帯植物の自生もみられる。また岬には灯台,展望台,四国八十八ヵ所38番札所で,822年(弘仁13)空海の建立と伝えられる金剛福寺があって,竜串見残しなどとあわせて高知県の重要な観光拠点の一つを形成している。付近の民家はツバキやマキからなる生垣によって囲まれ,段畑とともに独特の景観を呈していた。土佐くろしお鉄道や足摺スカイラインの建設により交通の便がよくなり,ホテル,旅館が林立し,民宿も多い。1955年に国定公園となり,64年には愛媛県宇和海地域を含めて拡張指定され,72年には足摺宇和海国立公園に指定された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「足摺岬」の意味・わかりやすい解説

足摺岬
あしずりみさき

高知県土佐湾西端の岬で、東の室戸(むろと)岬と対峙(たいじ)する。土佐清水(とさしみず)市にあり、四国最南端の岬。古くは蹉跎(さだ)岬とも書いた。「サダ」の地名は九州、四国、伊豆七島など各地にも多くの例がみられ、「サ」は先を、「ダ」は場所をさすとの説もある。また、岬を崎と慣用した時期もあったが、現在は足摺岬が慣用される。付近は3段の段丘面をもつ隆起海岸で、岬端は80メートルほどの花崗(かこう)岩海食断崖(だんがい)となり、海食洞(どう)も多くみられる。段丘上の傾斜面は、ウバメガシ、トベラ、ハマサカキ、タブノキ、ツバキ、スダジイなどの常緑照葉樹を主とした天然の樹海をなし、ビロウ、アコウ、クワズイモなどの亜熱帯植物が南国的な岬景観を強調している。かつては灯台と四国霊場38番札所の金剛福(こんごうふく)寺が所在するのみであったが、第二次世界大戦後、観光地化に応じて、展望台、ツバキのトンネルの遊歩道なども整備され、旅館、ホテルの集積もみた。

 付近の段丘面は畑地に利用され、ツバキの防風垣をもつ集落が立地している。付近の海中には碆(ばえ)(岩礁)も多く、古来カツオなどの好漁場。足摺宇和海国立公園の中核拠点で、足摺スカイラインが通じる。

[大脇保彦]


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百科事典マイペディア 「足摺岬」の意味・わかりやすい解説

足摺岬【あしずりみさき】

高知県南西部にある四国最南端の岬。別名蹉【だ】(さだ)岬。標高数十mの花コウ岩の海食崖で取り巻かれ,先端の標高80mの段丘上に灯台がある。一帯はビロウ,アコウなどの亜熱帯植物が茂り,近くに四国八十八ヵ所38番札所金剛福寺がある。空海が当地で修行したという所伝があり,1161年の史料に蹉【だ】御崎とみえる。足摺宇和海国立公園に属する。
→関連項目高知[県]土佐湾

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「足摺岬」の意味・わかりやすい解説

足摺岬
あしずりみさき

古くは蹉だ岬,足摺崎とも呼ばれた。高知県南西部,四国最南端の岬。土佐清水市に属する。東の室戸岬とともに土佐湾をいだき,海岸段丘の発達をみる。岬の先端部は花崗岩から成る高さ 80mほどの海食崖で,ここにある灯台は国内最大級の1つ。付近に亜熱帯性植物の繁茂する南国的雄大な景観がみられる。足摺宇和海国立公園の中心地の1つ。

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デジタル大辞泉プラス 「足摺岬」の解説

足摺岬〔映画〕

1954年公開の日本映画。監督:吉村公三郎、原作:田宮虎彦による同名小説、脚色:新藤兼人、撮影:宮島義勇。出演:木村功、津島恵子、砂川啓介、信欣三、内藤武敏、斎藤雄一ほか。

足摺岬〔曲名〕

日本のポピュラー音楽。歌は男性演歌歌手、春日八郎。1959年発売。作詞:高橋掬太郎、作曲:吉田矢健治。

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事典 日本の地域遺産 「足摺岬」の解説

足摺岬

(高知県土佐清水市足摺岬)
美しき日本―いちどは訪れたい日本の観光遺産」指定の地域遺産。

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世界大百科事典(旧版)内の足摺岬の言及

【田宮虎彦】より

…戦前に《日暦》《人民文庫》の同人であり,《無花果》(1935)などを発表したが,本格的に認められたのは《落城》(1949)に代表される戦後の歴史小説によってである。さらに半自伝的作品《足摺岬(あしずりみさき)》(1949),《絵本》《菊坂》(ともに1950)などを収めた短編集《絵本》(1951)によって毎日出版文化賞を受賞。胃癌で死んだ妻千代との書簡集《愛のかたみ》(1957)は広く読まれた。…

※「足摺岬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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