跡目(読み)アトメ

デジタル大辞泉 「跡目」の意味・読み・例文・類語

あと‐め【跡目】

家長としての身分家督。「跡目を継ぐ」
家督を継ぐこと。また、その人。跡取り跡継ぎ。「跡目を立てる」
先代地位を継ぐこと。また、その地位。その地位を継ぐ人。後継者。「派閥跡目を争う」
[類語]跡式家督跡取り跡継ぎ嗣子後継者相続人世継ぎ総領

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精選版 日本国語大辞典 「跡目」の意味・読み・例文・類語

あと‐め【跡目・後目】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 中・近世当主死亡または隠居により相続されるべき家の地位、身分、家名、家産など。→跡式(あとしき)。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「親ご御隠居で、あとめをお継ぎなさる筈で」(出典:浄瑠璃・心中万年草(1710)中)
  3. を相続すること。跡目相続。家督相続。跡式相続。
    1. [初出の実例]「一跡目之儀、養子は存生之内可言上」(出典:御当家令条‐一・御旗本諸法度・寛文三年(1663)八月五日)
  4. を相続する人。相続人。転じて、一般に後継者、後任者。〔文明本節用集(室町中)〕
    1. [初出の実例]「成王、〈略〉殷のあとめにせられたぞ」(出典:玉塵抄(1563)三)
  5. あと。うしろ。しり。
    1. [初出の実例]「御方(みかた)者共、多く跡目(アトメ)に附いて来り集る」(出典:源平盛衰記(14C前)二一)

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改訂新版 世界大百科事典 「跡目」の意味・わかりやすい解説

跡目 (あとめ)

中世においては,遺産のことを跡職(跡式)(あとしき)と称したが,近世には跡目という語も用いられた。相続の対象となる遺産だけでなく,その相続者をも跡目と呼ぶこともある(たとえば,〈跡目が絶える〉〈跡目を立てる〉など)。江戸幕府の武家相続法では,死亡による相続を跡目(万石以上の場合は遺領という)相続,隠居による相続を家督相続と呼んで区別している。
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