車胤(読み)シャイン

デジタル大辞泉 「車胤」の意味・読み・例文・類語

しゃ‐いん【車胤】

中国東晋政治家南平湖北省)の人。あざなは武子。家が貧しかったため油を買えず、蛍を集めてその光で読書したという。孫康とともに「蛍雪」の故事で知られる。生没年未詳。

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精選版 日本国語大辞典 「車胤」の意味・読み・例文・類語

しゃ‐いん【車胤】

  1. 中国、東晉の政治家。字(あざな)は武子。南平(湖北省公安県)の人。学問をするのに灯油がなく、夏には蛍(ほたる)を集めてその光で書を読んだという。同じころの孫康が雪の光で読書した故事と合わせて、苦学した成果を「蛍雪(けいせつ)の功」と呼ぶ。時の権力者桓温に認められ吏部尚書にまで進んだが、実力者司馬元顕と対立し自殺させられた。三九七年頃没。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「車胤」の意味・わかりやすい解説

車胤
しゃいん
(?―400)

中国、東晋(とうしん)の政治家。南平(湖北省公安県)の出身。字(あざな)は武子(ぶし)。将来の大成を期待されながら、家が貧しく、油が買えないため、夏の夜には布袋に入れた蛍の光を灯火がわりとして読書に励んだ。この話は、雪明かりを頼りに読書した孫康(そんこう)の話とともに古くから有名で、隋(ずい)の崔賾(さいさく)の書簡に「蛍を聚(あつ)め雪に映す」の表現がみえるのをはじめ、五代のときに幼童教育の書物としてつくられた『蒙求(もうぎゅう)』にも「孫康は雪に映し、車胤は蛍を聚む」と二つの話をあわせあげている。日本でも「蛍の光、窓の雪」と歌われる。努力のかいあって車胤は博学をもって世に知られ、清談家仲間から「車くんがおらぬことにはつまらない」といわれるまでになった。桓温(かんおん)の引き立てで官界に進み、侍中や吏部尚書などの要職を歴任したが、東晋末の実力者の司馬元顕(しばげんけん)にたてついたため、迫られて自殺した。

吉川忠夫

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「車胤」の意味・わかりやすい解説

車胤
しゃいん
Che Yin; Ch`ê Yin

[生]?
[没]隆安4(400)頃
中国,東晋 (→) の官吏学者。字は武子。南平 (湖南省) の人。家が貧しく灯油を買えなかったため,ほたるを袋に入れ,その光で勉強したという話が有名。孫康の話と合せて「蛍雪の功」という語が生じた。官は吏部尚書に上ったが自殺。

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