精選版 日本国語大辞典 「軟体動物」の意味・読み・例文・類語
なんたい‐どうぶつ【軟体動物】
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動物分類学上の一門である軟体動物門Molluscaを構成する動物の総称。現在の地球上では、節足動物に次いで大きな動物群である。体は、多少の例外はあるが基本的には柔軟で、明らかな環節がなく、背面から殻で保護されている。頭部、内臓塊、足部の3部分からなり、頭には触角や目があり、口の中には歯舌がある。また、内臓嚢(のう)と外套(がいとう)との間は外套腔(こう)で、ここにえらがある。外套は殻を分泌し、足は大きくて、はうのに適している。
軟体動物には世界に約11万程度の現生種があり、次の7綱に分けられている。(1)無板綱 海産で、体はミミズ状で殻を欠き、背側はクチクラ層に覆われ、中に骨片が埋もれている。腹側に前後に細かい溝がありカセミミズ類が代表的な溝腹類と、溝のないケハダウミヒモ類が代表的な尾腔類の2群からなる。化石は未発見で、現生種は世界に約200種、日本には約15種が知られている。(2)多板綱 海産で、ヒザラガイ類ともよばれる。体は楕円(だえん)形で、前後に8枚の殻が並ぶ。古生代カンブリア紀後期から出現し、現生種は世界に約1000種、日本には約90種を産する。(3)単板綱 大部分が深海産で、ネオピリナ類で代表される。古生代カンブリア紀初期から出現し、デボン紀まで栄えた類で、現生種は世界に11種、日本近海には産しない。(4)腹足綱 海中、淡水中、陸上にすみ、殻は普通螺旋(らせん)状に巻いているいわゆる巻き貝類である。1対の触角と目があり、また、足が大きくて広く、はうのに適している。古生代カンブリア紀初期から出現し、現生種は世界に8万5000種、日本に約4500種を産する。(5)掘足綱 海産。殻は管状で弓状に曲がるいわゆるツノガイ類。頭には目も触角もない。古生代デボン紀から出現し、現生種は世界に500種、日本に約70種を産する。(6)二枚貝綱 海中、淡水中に産し、体を2枚の殻で左右から囲む。頭を欠き、足はくさび形でえらは2対あり、進んだ仲間では外套膜の後方は2本の出入水管になる。古生代オルドビス紀初期に出現し、現生種は世界に2万5000種、日本に約1500種を産する。(7)頭足綱 海産。イカ・タコ類で、体は胴部、頭部、足部が一直線に並んでいる。この点が、体の背側に内臓塊を背負い、腹側に足のある軟体動物門一般の体制と大きく異なっている。殻は一般に退化的であるが、原始的なオウムガイでは巻いた外殻がある。古生代カンブリア紀に出現し、現生種は世界に約650種、日本には約150~200種を産する。
軟体動物は、人類にとって重要な食料となるばかりでなく、工芸材料、薬品などの原料となる一方、寄生虫の媒介者、漁業上の害敵となるなど、きわめて人間生活と関係の深い動物群であるといえる。
[奥谷喬司]
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… 動物の化石は先カンブリア時代末期からも発見されているが,それらはきわめて不完全である。しかしカンブリア紀になると,原生動物の有孔虫や放散虫,海綿動物のフツウカイメン(普通海綿),腔腸動物(刺胞動物)のクラゲ,棘皮(きよくひ)動物のウミユリ,星口(ほしくち)動物,軟体動物,環形動物の多毛類,節足動物の三葉虫,鋏角(きようかく)類および甲殻類など,形態的にはっきり異なった門が突然現れるので,各門の間の系統的な関係を化石をたどって確かめることはほとんど不可能である。したがって門の間の系統関係(図)は,形態や発生から推定するほかない。…
※「軟体動物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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