輦台(読み)レンダイ

デジタル大辞泉 「輦台」の意味・読み・例文・類語

れん‐だい【×輦台/×蓮台】

江戸時代、川を渡る客を乗せた台。ふつう、板に2本の担い棒をつけたもので、4人でかついだ。また、大名貴人駕籠かごのまま乗せるものは大高欄といい、2、30人でかついだ。

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精選版 日本国語大辞典 「輦台」の意味・読み・例文・類語

れん‐だい【輦台・蓮台】

  1. 〘 名詞 〙 江戸時代、川越えの際に人足が旅客を乗せて、かつぎ渡すのに用いた台。朱塗の欄・黒漆の台・黒塗の棒ででき、大名や貴人などを乗駕籠のまま、川越人足一六人以上でかつぐ大高欄、それよりやや小規模で、黒漆の台に朱塗の欄ででき、川越人足八人でかつぐ中高欄、朱欄の代わりに紅殻塗の板がつき、川越人足六人でかつぐ半高欄、そして川越人足四人でかつぐ白木梯子(はしご)形の平蓮台まで四種があった。平蓮台に乗るには台札一枚、半高欄は四枚を買う必要があるが、大高欄については特に定めがなかった。
    1. 輦台〈広重画東海道五十三次〉
      輦台〈広重画東海道五十三次〉
    2. [初出の実例]「れんだいで花よめおくる金谷宿」(出典:雑俳・川柳評万句合‐安永六(1777)松二)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「輦台」の意味・わかりやすい解説

輦台
れんだい

江戸時代、川越(かわごし)に使われた乗り物。連台、蓮台とも書く。川を横切るには、架橋、渡船など種々の手段があり、歩いて渡る歩(かち)渡しもその一つ。東海道大井川には1660年(万治3)ごろ専業の川越人足(にんそく)ができ、天保(てんぽう)末年(1840ころ)には482人と記録されている。歩渡しのうち手引き渡しや肩車渡しより高級なのが輦台渡しで、平(ひら)輦台は白木造りの梯子(はしご)状のもの、半高欄(こうらん)は手すりの板がついているが紅殻(べんがら)(弁柄)塗りのもの、その上の中高欄、大(だい)高欄になるとすべて漆塗りで、輿(こし)に乗ったままで運ばれる。平輦台は4人、客2人なら6人で担ぐが、大高欄になると先導の水切り役を含めて20~30人に及ぶことがあった。武士は渡し賃は不要だったが、輦台に乗るには台札(だいさつ)(切符)を要した。1871年(明治4)に川越人足は廃され、渡船に移行した。

[井之口章次]


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百科事典マイペディア 「輦台」の意味・わかりやすい解説

輦台【れんだい】

蓮台,連台とも記す。江戸時代,旅客を乗せて川を渡した台。かつぎ棒2本を付け,人足がかつぐ。梯子(はしご)様の簡単なものから,大名,貴族が駕(かご)に乗ったまま乗る御駕台(おかだい)(大高欄とも。人足16〜24人くらい)まで種々あった。大井川の輦台渡は特に有名。
→関連項目川越

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