精選版 日本国語大辞典 「輸送現象」の意味・読み・例文・類語
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金属の棒の両端に電圧をかけると、金属の中に電場が生じ、電流が流れる(電気伝導)。物体の温度が不均一なとき、物体中に熱の流れが生じる(熱伝導)。このように物体中を電気、熱などの物理量が流れる現象を、一般に輸送現象という。液体の流れのような、物質そのものの運動は含まない。
輸送現象には、電気伝導や熱伝導のほかにもいろいろある。水の中にインクをこぼすと、インクは広がって水全体を染めるようになる。このように、溶液の中で溶けている物質(溶質)の濃度が不均一であれば、溶質の流れがおこる(拡散)。流れている気体や液体中で流れの速さが一様でないと、速い領域と遅い領域との間に一種の摩擦力が働く(粘性)。この力は速いほうの流速を遅くし、遅いほうの流速を速くするから、そこに運動量の流れがおきているとみてよい。
輸送現象の特徴は、流れの向きが定まっていることである。熱の流れは高温の領域から低温の領域へ向けておこり、溶質は高濃度の領域から低濃度の領域へ向かって流れる。逆向きには流れない。熱が流れると温度差は減り、溶質が拡散すると濃度差が減る。温度や濃度が均一で、それ以上時間的に変化しない状態を、熱平衡状態という。物質の状態がこの熱平衡から外れると、流れはそれを回復する向きにおこるのである。このような変化を、逆向きにはおこりえないという意味で、不可逆変化という。輸送現象は代表的な不可逆変化である。
物質中に「流れ」を生じさせるためには、電場、温度勾配(こうばい)のような、ある種の「力」を加えなければならない。「力」が弱いときには「流れ」も小さい。このような場合、「流れ」は「力」に比例すると考えてよい。たとえば、電場がEのとき流れる電流をIとすれば、I=σEの関係が成り立つ。また、温度勾配がdT/dxのとき流れる熱流をJとすれば、J=κ(dT/dx)の関係が成り立つ。比例係数σ、κは物質や温度などの条件による定数で、σを電気伝導度、κを熱伝導度という。一般に、「流れ」と「力」を結ぶ比例係数を輸送係数という。
[長岡洋介]
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粘性,熱伝導,拡散などのように,気体,液体,あるいは固体の一方から他方へある量が移動する現象をいう.分子の熱運動の結果として,物質内の仮想平面を通して,粘性では運動量が,熱伝導ではエネルギーが,また拡散では物質自身が輸送される.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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