近い(読み)チカイ

デジタル大辞泉 「近い」の意味・読み・例文・類語

ちか・い【近い】

[形][文]ちか・し[ク]二つのものが空間的、時間的に、また心理的に離れていないさま。
距離の隔たりが少ない。遠くない。「駅に―・い」⇔遠い
時間の隔たりが少ない。「正月が―・い」「―・いうちに完成する」「年のせいかトイレが―・い」⇔遠い
関係が密である。親密である。「半年交際で―・い間柄になる」「首相に―・い人々」⇔遠い
血のつながりが密接である。「―・い親戚」⇔遠い
性質・内容・程度などの隔たりが少ない。「オレンジ色に―・い赤」「理想に―・い相手」⇔遠い
(「目が近い」の形で)近眼である。「細かい字を見すぎて目が―・くなった」⇔遠い
[派生]ちかさ[名]
[類語](1手近い程近い間近い間近じきすぐ至近近く目前鼻先手が届く指呼しこ咫尺しせき目睫もくしょうかん目と鼻の先身近手近卑近身辺そばかたわわき片方かたえ手もと付近近辺近傍近所最寄りもと足元座右左右手回り身の回り・ついそこ・まのあたり目睫もくしょう面前目の前眼前現前目先鼻面はなづら鼻っつら前面正面真ん前手前先方直前/(2遠からず何時かやが追っ付け間もなく程なく今に近く近日いずれそのうち近近ちかぢか近近きんきん遅かれ早かれ早晩追ってじきすぐ直ちに早速じきすぐにすぐさまもう追い追いきた日ならずして後日他日不日又の日/(3緊密接近密接親近近接不可分濃い切っても切れない水いらず親しい近しい心安い気安いむつまじい親密懇意昵懇じっこん懇親別懇ねんご親愛和気藹藹仲良し・仲が良い・気が置けない取っ付きやすい人なつこい

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「近い」の意味・読み・例文・類語

ちか・い【近】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]ちか・し 〘 形容詞ク活用 〙
  2. [ 一 ] 空間・時間のへだたりが少ないさま。
    1. 空間・距離のへだたりが少ない。
      1. [初出の実例]「あしひきの山も知可吉(チカキ)をほととぎす月立つまでになにか来鳴かぬ」(出典万葉集(8C後)一七・三九八三)
      2. 「このとまり、とほくみれども、ちかくみれども、いとおもしろし」(出典:土左日記(935頃)承平五年一月一八日)
    2. 特に身近なところにいる。また、手近である。
      1. [初出の実例]「墨の江の中つ王に近(ちか)く習(つか)ふる隼人」(出典:古事記(712)下)
      2. 「放下しがしたる事なれ共、皆人賢過て結句近き事にはまりぬ」(出典:浮世草子・世間胸算用(1692)一)
    3. 時間のへだたりが少ない。
      1. (イ) 現時点より過去に向かって大きくさかのぼらないさまをいう。
        1. [初出の実例]「ちかき年頃となりては、御中もへだたりがちにて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)真木柱)
        2. 「お紫津が〈略〉公然手を切ったのは近い事であった」(出典:杏の落ちる音(1913)〈高浜虚子〉一一)
      2. (ロ) 現時点より未来に向かって遠くへだたることがないさまをいう。
        1. [初出の実例]「天雲の遠隔(そきへ)の極み吾が思へる君に別れむ日近くなりぬ」(出典:万葉集(8C後)一九・四二四七)
        2. 「近いうちにヨーロッパに出かけることになっていた」(出典:彼の歩んだ道(1965)〈末川博〉四)
      3. (ハ) 時間の間隔が短いさまをいう。間遠でない。
        1. [初出の実例]「小便近く」(出典:志都の岩屋講本(1811)下)
    4. 物事が進行して、ある数値に届こうとしている。ほぼ及ぼうとしている。
      1. [初出の実例]「七十ちかき親二人を持たるに」(出典:枕草子(10C終)二四四)
      2. 「此同勢は前後を通じると約十人近(ヂカ)くあったが」(出典:満韓ところどころ(1909)〈夏目漱石〉一四)
    5. ( 多く、「目が近い」の形で ) 近視である。ちかめである。
      1. [初出の実例]「少し近眼(チカ)い癖に眼鏡を用ひない僕には」(出典:搦手から(1915)〈長谷川如是閑〉くつしたの穴)
    6. ( 「耳が近い」の形で ) よく聞こえる。耳ざとい。〔和英語林集成(再版)(1872)〕
  3. [ 二 ] 関係が密接であるさま。
    1. 精神的なつながりが密接である。親密である。したしい。
      1. [初出の実例]「山川を中に隔(へな)りて遠くとも心を知可久(チカク)思ほせ我妹」(出典:万葉集(8C後)一五・三七六四)
      2. 「ちかき御中らひにて、聞き及ばせ給ふやう」(出典:源氏物語(1001‐14頃)柏木)
    2. 血縁関係が深い。血のつながりが濃い。
      1. [初出の実例]「かずまへ給はざりけれどちかき人にこそはあなれ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)宿木)
    3. 物事の性状・内容が似ている。ほとんど同じである。近似している。
      1. [初出の実例]「功(いさを)造物(おのつからなる)に隣(チカ)うして清き猷(みち)、世に」(出典:日本書紀(720)顕宗即位前(図書寮本訓))
      2. 「人倫に遠く、禽獣に近き振舞」(出典:徒然草(1331頃)八〇)

近いの派生語

ちか‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

近いの派生語

ちか‐さ
  1. 〘 名詞 〙

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