通天(読み)ツウテン

デジタル大辞泉 「通天」の意味・読み・例文・類語

つう‐てん【通天】


天に届くこと。また、それほど高いこと。
「太平の空気を、―に呼吸して憚らない」〈漱石三四郎
カエデ一種通天橋付近のものが有名なところからの称。
江戸時代歌舞伎劇場で、橋懸かり上部に設けられた張り出しの2階桟敷
通天橋」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「通天」の意味・読み・例文・類語

つう‐てん【通天】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 天に通ずること。また、天に達するほど高く空にかかっていること。
      1. [初出の実例]「太平の空気を、通天(ツウテン)に呼吸して憚らない」(出典:三四郎(1908)〈夏目漱石〉四)
      2. [その他の文献]〔杜甫‐望岳詩〕
    2. (かえで)の一種。京都東福寺境内通天橋付近のものが名高いところからの称。
      1. [初出の実例]「はや紅葉も盛に、通天(ツウテン)の色こそよけれ」(出典:浮世草子・近代艷隠者(1686)三)
    3. 江戸時代の歌舞伎の劇場で、橋掛(はしがか)りの上部に設けられた張出しの二階桟敷。舞台上の紅葉の釣枝がよく見えるので、京都東福寺の通天橋に見立てての称。羅漢台とともに最下級の客席。吉野。
      1. [初出の実例]「桟敷の前へ張出したが通天(ツウテン)さ。是は堺町に限る。木挽町には羅漢台がねへネ」(出典:滑稽本・戯場粋言幕の外(1806)下)
    4. つうてんさい(通天犀)」の略。
      1. [初出の実例]「又聴六位已下着烏犀帯。但有通天文者。不聴限」(出典:日本三代実録‐貞観一二年(870)一二月二五日)
  2. [ 2 ]つうてんきょう(通天橋)」の略。
    1. [初出の実例]「東福寺開山忌に通天の紅葉をみて 通天のもみぢや日本開山忌〈勝之〉」(出典:俳諧・崑山集(1651)一二)

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普及版 字通 「通天」の読み・字形・画数・意味

【通天】つうてん

天に届く。

字通「通」の項目を見る

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動植物名よみかた辞典 普及版 「通天」の解説

通天 (ツウテン)

植物トウカエデ別称

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世界大百科事典(旧版)内の通天の言及

【カエデ(楓)】より

… トウカエデは緑陰樹として植えられているが,盆栽とされる。通天(つうてん)や,宮様楓(別名マルバカエデ),丹鳥楓,東洋錦などの変形葉や斑入葉などの園芸品種が栽培されている。 カエデ類の園芸品種の繁殖は接木を2~3月におこなうのが普通であるが,台木には同一系統の種類を選ばなければ活着しない。…

※「通天」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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