精選版 日本国語大辞典 「造作」の意味・読み・例文・類語
ぞう‐さ ザウ‥【造作・雑ザフ作】
〘名〙
① (━する) 仏語。意識してつくりだすこと。
※十善法語(1775)四「呪術を造作して世間を利益すとある」
② 技巧。
※遊楽習道風見(1423‐28頃)「此『小馬とめて』の歌の如く、まさしくさうさの一もなく風躰心をも求めず」
※実隆公記‐大永七年(1527)四月一四~一七日紙背(三条実香書状)「昨日内々渡御儀申候つる。還而御雑佐之様候間、重而不レ申候」
※石山本願寺日記‐顕如上人文案・天正六年(1578)九月一〇日「仍信長此表へ罷向由候、番衆之儀いつもざうさながら何時によらず案内次第にのぼるべく候」
※浮世草子・好色万金丹(1694)三「此文を人雇ひして遣るも造作(ザウサ)のかかる事と思案して」
④ 費用のかかること。ことをするためにかかる金。
※上杉家文書‐(年月日未詳)(江戸)鉄砲一巻之事「毎年入不レ申候鉄炮を張申事、いらざる儀に候へども、算用仕、見申され候へは、年に百挺宛すたり申候ても、五六百石の御ざうさに御座候」
⑤ ごちそう。もてなし。ごぞうさ。
※咄本・戯言養気集(1615‐24頃)上「いざこれをよび、我こをしゅくせんとて、ことごとしきざうさなど物し、むかひをやり」
ぞう‐さく ザウ‥【造作・雑ザフ作】
〘名〙
① つくること。こしらえること。製作。また、つくられたもの。
※律(718)逸文・壇興「若有レ所二造作一、及有レ所二毀壊一、備慮不レ謹、而誤殺レ人者。徒一年半」
※名語記(1275)五「糸にしもかぎらず、造作にもくみ物はあるべし」
※童子問(1707)下「二氏之数、皆出二其意想造作一」
② 建物をつくること。建築すること。また、その建てられた建物。家作。
※後二条師通記‐寛治六年(1092)六月二三日「造作之間、臨時工等給レ祿、大工則季馬給レ之」
※愚管抄(1220)六「六波羅平相国が跡に二町をこめて造作しまうけて京へ入りける」
※徒然草(1331頃)五五「造作は、用なき所をつくりたる、見るも面白く、万の用にも立ちてよしとぞ」
③ 建物内部の建具・取付物の総称。床の間・戸棚・階段・流し・畳などの類。
※俳諧・誹讔三十棒(1771)「造作(ザウサク)は戸棚ひとつ」
※酒中日記(1902)〈国木田独歩〉五月一七日「内部(うち)の雑作(ザウサク)も半ば出来上った新築校舎」
④ 顔のつくり。顔の目鼻立。器量。
※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「非道(ひど)く癯(やつ)れてゐる故(せゐ)か顔の造作(ザウサク)がとげとげしてゐて」
⑤ ⇒ぞうさ(造作)
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