金属を溶解し板状にして円形に打ち抜き、模様の圧印などを経て製造する硬貨の他、勲章も手掛ける。大阪の本局(敷地面積8万6千平方メートル)、さいたま、広島両支局があり、役職員は10月現在で計852人。1883年から敷地の桜を公開してきた「桜の通り抜け」は大阪の春の風物詩として知られる。1964年東京五輪の千円、100円銀貨を皮切りに記念貨幣も製造し、近年は「サザエさん」や「新世紀エヴァンゲリオン」などとコラボした貨幣セットも手掛けた。
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財務省所管の独立行政法人。1869年(明治2)2月に太政官(だじょうかん)のなかに設けられ、同年7月に造幣寮と改称し、イギリスから造幣機械を輸入して1871年4月に大阪で開業した。1877年1月にふたたび造幣局と改称した。その後、2001年(平成13)1月の中央省庁再編で、大蔵省が財務省に改称したのに伴い、財務省の所属となり、2003年4月、財務省所管の独立行政法人となった。大阪市の本局のほか、東京、広島に支局を置いている。
造幣局の事業は、貨幣・勲章・章牌(しょうはい)・合金および金属工芸品などの製造、記念貨幣等の販売、貴金属の精製および品位の証明、鉱物の分析および試験などである。これらの事業を一般会計と区分して企業的に運営するために特別会計が設けられていたが、独立行政法人化に伴って廃止された。もっとも大きな事業は貨幣の製造であり、国民経済の進展、自動販売機の普及に伴ってその需要は急速に拡大した。2007年度の製造実績では、500円ニッケル黄銅貨4億0990枚、100円白銅貨1億2990万枚、50円白銅貨990万枚、10円青銅貨3億8890万枚、5円黄銅貨990万枚、1円アルミ貨2億2390万枚の製造となっている。大臣が執行官となって新しく製造された貨幣が規定どおりにつくられているかどうかを公開の場で検査する「製造貨幣大試験」は、1872年5月に当時の大蔵大輔(たいふ)兼造幣頭井上馨(かおる)が執行官となって行ったのに始まり、以後今日まで続けられている。
なお、貨幣の引き換えまたは回収にあてる資金を保有することによって貨幣の信任の維持を図るという趣旨から、貨幣回収準備資金制度が設けられている。
[林 正寿]
『造幣局125年史編集委員会編『造幣局125年史』(1997・大蔵省造幣局)』
貨幣の製造をおもな業務とする大蔵省(2001年より財務省)の付属機関。その歴史は古く,1869年(明治2)太政官に造幣局が設けられたが,同年,造幣寮と改称,77年にふたたび造幣局となった。造幣寮は,1871年大阪で創業され,当時としては画期的な洋式の機械設備により貨幣の製造を開始し,その後勲章の製造,貴金属の品位証明等,逐次事業の範囲を拡大し今日に至っている。大阪市所在の本局のほか,東京支局(1879東京出張所設置,1943支局昇格)および広島支局(1945設置)があり,いわゆる四現業の一つとして造幣局特別会計により運営され,定員は1475人(1997年度末)である。本局の組織は局長の下に総務部,事業企画部,製造部が置かれていた。2003年に独立行政法人となった。
貨幣は,年度ごとに出される大蔵大臣の製造命令により製造される。毎年度の製造数量は国民経済の動向その他の要因により変動するが,近年は,各種の貨幣をあわせて30億~40億枚となっている。通常の貨幣のほか,オリンピック,万国博覧会など国家的行事に関する記念貨幣の製造も造幣局の業務である。造幣局の業務としては,そのほかに,(1)総理府賞勲局の注文による勲章,褒章類の製造,(2)官公庁その他の注文による銀盃,バッジ,メダル等金属工芸品の製造,(3)鉱山会社,貴金属商等の依頼による貴金属地金の精製および品位証明,(4)官公庁その他の依頼による地金,鉱物の分析および試験,(5)貴金属製品の製造業者または販売業者からの依頼による貴金属製品の品位証明,などがある。なお,毎年,大蔵大臣が執行官となって,〈製造貨幣大試験〉が行われるのが例となっているが,これは,製造された貨幣が定められた誤差の範囲内にあるかどうかを検査するものである。
執筆者:八木 俊道
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