連歌盗人(読み)レンガヌスビト

デジタル大辞泉 「連歌盗人」の意味・読み・例文・類語

れんがぬすびと【連歌盗人】

狂言連歌会の当番にあたった貧乏な二人の男が連歌仲間の金持ちの家へ盗みに入り、床の懐紙を見て連歌を始めて主人に見つかるが、主人の句にうまく付けて許される。盗人連歌

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精選版 日本国語大辞典 「連歌盗人」の意味・読み・例文・類語

れんがぬすびと【連歌盗人】

  1. 狂言。各流。連歌の会の当番にあたった貧乏な男二人が、困って連歌仲間の有徳人の家に盗みにはいるが、床の上の懐紙を見つけて連歌を始め、主人に見つかる。しかし、主人の句に見事に付句をして許され、太刀などをもらう。「天正狂言本」および「狂言記拾遺)」では「盗人連歌」。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「連歌盗人」の意味・わかりやすい解説

連歌盗人
れんがぬすびと

狂言の曲名。雑(ざつ)狂言。連歌初心講の当(とう)(当番)を勤めることになったこのあたりの者(シテ)は、貧しくて費用に困り、同じく貧しい当の仲間と相談して2人で金持ちの家へ盗みに入る。しかし、床の間の懐紙に書いてある句を見て、つい添え発句・脇句(わきく)を付けて打ち興じてしまう。そこを亭主にみつけられるが、この亭主も連歌好きで、自分の第三句に四句目がうまく付けられたら命を助けようという。みごとに四句目を付け、2人は顔を隠しながら帰ろうとするが、亭主に顔見知りの者と見破られ、しかたなくわけを話す。同情した主人が両人に大刀・小刀を与えると、2人は喜びを謡い上げて帰っていく。連歌が流行した中世庶民社会を反映した曲。類曲に『蜘盗人(くもぬすびと)』がある。

[池田英悟]

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