れん‐だく【連濁】
〘名〙
二つの語が結合して
一語を作るとき、あとの語の
語頭の
清音が
濁音に変わること。「桜・花」が「
さくらばな」、「菊見・月」が「きくみづき」、「経・済」が「けいざい」となる類。連濁音。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「連濁」の意味・読み・例文・類語
れん‐だく【連濁】
国語で、合成語の語頭の清音が濁音に変わる現象。「はな」が「さくら」に下接して「さくらばな(桜花)」となる類。その他に「月見酒(つきみざけ:さけ→ざけ)」「経済(けいざい:さい→ざい)」など。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
連濁
れんだく
単語が結合した場合に、後項の語頭の清音が濁音化する事象。和語と和語(アオ+ソラ>アオゾラ)、漢語と漢語(精(ショウ)+進(シン)>ショウジン)、漢語と和語(演(エン)+スル>エンズル)の3種がある。和語の場合の連濁がどのような条件下でおこるかは複雑であるが、逆におこらない条件としては、熟合度の低い場合(一語化を完了していない場合)、用言と用言が結合している場合、前項末尾または後項第二音節目が濁音である場合、などが指摘できる。漢語の場合には、平安末期から「新濁(しんだく)」とよばれて、前項末尾が撥音(はつおん)-m,-n,-ŋを有する字の場合の鼻音同化現象としてかなり規則的に発生していたが、今日では連声(れんじょう)と同じく、すでに語彙(ごい)的に固定している。
[沼本克明]
『奥村三雄「字音の新濁について」(京都大学国語国文学研究室編『国語国文』第21巻6号所収・1952)』▽『中川芳雄「連濁涵精」上下(京都大学国語国文学研究室編『国語国文』第47巻2、3号所収・1978)』
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
連濁
れんだく
複合語の後部形態素の最初のモーラと,それに相当する単独の形態素の最初のモーラとの間にみられる清音~濁音の交替という形態音韻論的現象をさす。ハナ~クサバナ,タル~サカダル,カワ~タニガワの,/h/~/b/,/t/~/d/,/k/~/ŋ/(/g/)などがその例。「新濁」ともいい,もともとの濁音である「本濁 (ほんだく) 」と区別することもある。連濁の条件はまだ十分に解明されてはいないが,複合語の前部形態素と後部形態素の音韻的,文法的,意味的関係が少くとも関連していることがわかっている。たとえば後部形態素の第2音節に濁音があるとき (「春霞」〈ハルガスミ〉に対する「春風」〈ハルカゼ〉) ,複合動詞のとき (「着替え」〈キガエ〉に対する「着替える」〈キカエル〉) ,対比的意味を前後にもつ語 (「山川」におけるヤマガワに対するヤマカワ) などは連濁を起さない。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
れんだく【連濁】
語を複合するとき,下にくる語の清音が濁音にかわること。漢語にあっては,新濁とよばれるものにおなじ。漢語のばあいには,本来,濁音であるばあいを本濁とよび,複合によって,もとは清音であったものが濁音になるばあいを新濁とよぶ。たとえば,〈被害〉の〈ガイ(害)〉のガは本濁,〈三階〉の〈ガイ(階)〉のガは新濁である。漢語のばあいには連濁のおこる条件がかなりはっきりしている。すなわち,カ,サ,タ,ハ行音に韻尾[n][m][
]が先行すると,それぞれガ,ザ,ダ,バ(またはパ)行音に転じるのである。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
連濁【れんだく】
2語が複合して1語となる場合,後続語の語頭の清音が濁音化する現象。谷川(たにがわ),信ずる,鉱山(こうざん)など。漢語の場合はカ,サ,タ,ハ行音に韻尾〔n〕〔m〕などが先行すると,それぞれガ,ザ,ダ,バ(またはパ)行音に転ずるのであるが,今日ではこの原理がはたらかなくなっていることもある。日本語において,どんな場合に連濁が起こるかは必ずしも一律にはいいがたく,時代・場所によっても異なることがある。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報