精選版 日本国語大辞典 「道徳」の意味・読み・例文・類語
どう‐とく ダウ‥【道徳】
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道徳は「道」と「徳」からなるが、この場合の「道」とは世の中で人が従うべき道のことであり、「徳」とはそれを体得した状態のことである。すでに中国の古典にあることばで、たとえば『易経』のなかに、「(聖人は)道徳に和順して義を理(おさ)め、理を窮(きわ)め性を尽くして以(もっ)て命に至る」という表現がある。ここでは、道徳は天の道でもあって、人間の従うべき理法と自然の理法とが一体であることが示されている。
ところで、道徳にあたる英語moral(日本でも道徳のかわりにモラルという表現がよく用いられる)は「習俗」を原義とするラテン語のmoresに由来する。この側面に注目すれば、道徳とは時代的、地域的に限定された特定の社会において成立している慣習的な掟(おきて)の総体とみることができる。したがって、いわゆる礼儀(エチケット)や作法(マナー)も、道徳の一部である。小・中学校に「道徳」の教科があるのも、一つにはこうした礼儀作法への躾(しつけ)が重視されているからであろう。
17世紀のイギリスの哲学者ロックによると、行為の道徳的善悪は、行為が法に従っているか否かによって決まるが、その法には「神の法」と「市民法」と「世論の法」(「風習の法」)の別がある。神の法に従わない者は来世で罰せられ、市民法に従わない者は法的処罰を、世論の法に従わない者は世間から非難されるという制裁を受ける。ロックはここで広義の道徳について語っているが、普通、道徳とよばれているのは三番目の世論の法であり、二番目の法律としての法から区別される。もっとも法学者のなかには、法(法律)は人間が従うべき「最小限の道徳」であるという見方もあり、この場合には法も道徳のうちに含まれることになる。
こうした慣習としての道徳は、ロックが世論の法とよぶように、世間の常識に支えられており、なぜそれに従わなければならないかといった反省を必要としない場合が多い。そこでアメリカの哲学者デューイは、慣習道徳と反省道徳とを区別した。反省道徳は道徳的善悪についての反省のうえにたった自律的な道徳で、場合によっては通用している慣習道徳を否定することもある。「道徳」と「倫理」はおおむね同じ意味で用いられるが、区別するとすれば、後者の反省道徳を倫理とよぶのが適切であろう。倫理学は、単に慣習道徳を記述するのではなく、反省道徳の立場にたって道徳の原理を探究する学問である。
[宇都宮芳明]
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
…中国では文化の担当者が政治家・官吏であったため,学問が現実生活の必要に密着しすぎ,理論としての体系を構成することが不十分であった。哲学もまたその例外ではなく多くの場合,道徳学・政治学の域にとどまることが多かった。
[古代]
孔子以前の文献としては《詩経》と《書経》があるが,そこには天が人格神・超越神として現れている。…
…法律によって政治を行う法治主義に対して,道徳により治めるのが政治の根本だとする思想。中国の儒家が主張した。…
※「道徳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
少子化とは、出生率の低下に伴って、将来の人口が長期的に減少する現象をさす。日本の出生率は、第二次世界大戦後、継続的に低下し、すでに先進国のうちでも低い水準となっている。出生率の低下は、直接には人々の意...
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