還饗（読み）かえりあるじ

精選版 日本国語大辞典

かえり‐あるじかへり‥【還饗】

1. 〘 名詞 〙
2. ① 賭弓(のりゆみ)または相撲(すまい)の節会(せちえ)の行事の後で、勝った方の近衛の大将が自分の邸にもどって、わが方の人々をもてなすこと。かえりだち。かえりだちのあるじ。かえりのあるじ。
   1. [初出の実例]「相撲還饗」(出典：貞信公記‐抄・延喜一〇年（910）八月六日)
   2. 「賭弓のかへりあるじのまうけ、六条院にて、いと心殊にし給ひて」(出典：源氏物語（1001‐14頃）匂宮)
3. ② 賀茂、石清水両社の臨時祭や春日の祭が終了して、奉仕した祭の使いや舞人たちが宮中へもどった時行なわれるねぎらいの宴。かえりだち。かえりだちのあるじ。
   1. [初出の実例]「十八日、帰饗如_レ例」(出典：貞信公記‐抄・延長二年（924）四月一八日)
4. ③ 貴人が、賀茂、石清水、春日社等へ参詣し、または参詣の使いを立てた時、帰ってから使いや供人、舞人などをねぎらうために行なう宴。
   1. [初出の実例]「賀茂願今日果、如_二石清水等願賽_一、出立饗間〈略〉帰饗伊与守云々」(出典：貞信公記‐抄・天慶九年（946）一〇月二五日)

かん‐きょうクヮンキャウ【還饗】

1. 〘 名詞 〙 ＝かえりあるじ（還饗）

出典　精選版 日本国語大辞典

世界大百科事典（旧版）内の還饗の言及

【賭射】より

…賭射が終わると，近衛大将は自邸において射手を饗応する。これを還饗（かえりあるじ）という。【山中 裕】。…

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出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」