重富(読み)しげどめ

日本歴史地名大系 「重富」の解説

重富
しげどめ

荒平あらひら(安楽平)山北西麓の重留しげどめを遺称地とする。中世史料には重富名・重富村とみえる。鎌倉時代末期の年月日未詳の足利氏所領奉行人交名(倉持文書/鎌倉遺文二四)に「戸栗重富」とみえ、戸栗へぐり(現西区)とともに足利氏所領となっている。以後重富は室見むろみ川西岸の戸栗とほぼ同じ働きをみせる。文和三年(一三五四)九月一二日、足利尊氏は「戸栗・重富両名」を勲功の賞として宇都宮守綱に宛行っているが(「足利尊氏宛行状案」宇都宮文書/南北朝遺文(九州編)三)、延文四年(一三五九)足利義詮は辺久里(戸栗)・重富を含む豊前筑前の所領の代官職に麻生上総介(家長)を任命しており(同年一〇月四日「足利義詮御判御教書写」麻生文書/南北朝遺文(九州編)四)、麻生氏の代官職はその後、永和三年(一三七七)まで確認される(同年一二月二一日「室町幕府御教書写」同文書/南北朝遺文(九州編)五)

その後戸栗・重富は太宰府天満宮満盛まんじよう院領となったが、時期については不明である。明応八年(一四九九)から翌年にかけて大友氏の早良郡代河崎右衛門大夫によって満盛院領戸栗・重富は違乱を受け、同院の訴えにより大友親治はその停止を命じている(明応八年三月一〇日「朽網親満書状」満盛院文書/大宰府・太宰府天満宮史料一四など)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「重富」の意味・わかりやすい解説

重富
しげとみ

鹿児島県中部,姶良市南部の旧村域。鹿児島湾に臨み,鹿児島市に隣接する。1955年帖佐町および山田村の一部と合体して姶良町となり,2010年加治木町,蒲生町の 2町と合体して姶良市となった。旧姶良町の中心地区の一つ。江戸時代集落で,島津一族の重臣,重富家の私領地であった。北の帖佐とともに干拓地がある。

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