野暮(読み)ヤボ

デジタル大辞泉 「野暮」の意味・読み・例文・類語

やぼ【野暮】

[名・形動]語源未詳。「野暮」は当て字
人情機微に通じないこと。わからず屋で融通のきかないこと。また、その人やさま。無粋ぶすい。「野暮を言わずに金を貸してやれ」「聞くだけ野暮だ」⇔いき
言動趣味などが、洗練されていないこと。無風流なこと。また、その人やさま。無骨。「野暮なかっこうをする」⇔いき
遊里事情に通じないこと。また、その人や、そのさま。
「―はいやなり。中ぐらゐなる客はあはず」〈浮・一代女・二〉
[類語]野暮ったい無粋無骨無風流無作法無造作泥臭いむくつけきプリミティブかっこ悪いださい不細工ぎこちない田舎臭い不格好無様不体裁醜態醜悪醜い見苦しいみっともないはしたないほこりっぽい汚いむさくるしい汚らしい小汚い薄汚いけがらわしいばっちいむさい泥まみれ不潔不浄不衛生不純尾籠みすぼらしいぼろいぼろぼろおんぼろよれよれぽんこつ老朽化汚穢おわい汚れ物汚濁けがれよごれ汚点汚染くすむ薄汚れる汚れるすすけるあかじみるまみれる油じみる汗じみる老醜しゅうばばっちいしどけない目障りじじむさいグロテスク不器量弊衣破帽だらしない醜怪浅ましい見辛い見るに見兼ねる

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精選版 日本国語大辞典 「野暮」の意味・読み・例文・類語

やぼ【野暮】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 語源未詳。「野暮」はあて字 ) 遊里の事情に暗いこと。性行、言動が洗練されないでいて田舎くさいこと。世態、人情の機微に通じないこと。気がきかないこと。不粋。また、その人やさま。
    1. [初出の実例]「うきに浮世のあだなる、波まによるべさだめずながれ出てやほのねむりざましすいのわらい草ねもなく」(出典:評判記・役者評判蚰蜒(1674)序)

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改訂新版 世界大百科事典 「野暮」の意味・わかりやすい解説

野暮 (やぼ)

野夫(やぶ)の転とも,藪医者の意ともいうが,語源は未詳である。〈野暮〉は当て字。屋暮,家暮などの表記もある。近世を通じて,〈すい)〉〈〉〈いき〉などの美的生活理念がもてはやされたが,それらと対立的な概念が〈野暮〉〈月(がち)〉である。世態人情の機微に通じず,言動がすべてにわたって洗練されていない人,遊里の事情に不案内な人のことをいう。〈野暮〉と〈通〉はその世界を全く異にしているため,修行しだいでは〈野暮〉から〈通〉への変化も可能だが,〈半可通(はんかつう)〉は〈通〉の範疇の中にありながら目ざす方向が〈通〉とは逆であるため,かえって〈通〉から遠ざかることになる。洒落本の世界では,より滑稽な存在として,〈野暮〉よりも〈半可通〉に関心が持たれることが多く,その人物像も生彩に富んでいる。
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