金を用いた糸の総称。切金(きりかね)をそのまま糸として用いるものと,〈箔糸(はくいと)〉としたものとがある。前者はヨーロッパ,西アジア地方でもっぱら用いられるいわゆるメタル・ヤーンで,細断した切金をそのまま,あるいは絹糸などに巻きつけて用いるもの。後者は中国およびその影響を受けた朝鮮,日本で用いられるもので,丈夫な紙に漆や膠などで金箔を貼りつけ,これを細断して平金糸(ひらきんし)(平箔糸)として用いたり,絹糸に巻きつけて撚金糸(よりきんし)として用いたりする。金糸を織り込んだ織物の歴史はきわめて古く,西方では既にローマ時代に存在したといわれる。中国でもおそらく西アジアの影響を受けて金糸を織物に用いることが行われ,織物になじみやすい箔糸が案出されたものと思われる。箔糸が中国においていつごろ造られたかは明らかでないが,正倉院伝世の綴(つづれ)に平箔糸を織り込んだものがあること,出土例ではトゥルファンの張雄夫婦墓(7世紀)出土の女子木俑が着けている細い綴の帯の一部にも平箔糸が織り込まれていることなどから,初唐には箔糸が存在していたことが知られる。金糸は織物に豪華な雰囲気を与えることから錦や唐織,綴などの高価な絹織物にはしばしば織り入れられるが,特に箔糸のみを絵緯(えぬき)(紋緯(もんぬき))として用い,文様をあらわしたものを金襴という。
執筆者:小笠原 小枝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…香木の成熟度によるものと考えられる。また伽羅の材質には金糸,糖結の2種があるという。金糸は木目が通っているのに対して,糖結は黒ようかんのごとくねっとりとして木理がわからない。…
※「金糸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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