鉄砲(読み)てっぽ

精選版 日本国語大辞典 「鉄砲」の意味・読み・例文・類語

てっ‐ぽ【鉄砲】

〘名〙 「てっぽう(鉄砲)」の変化した語。
歌謡・淋敷座之慰(1676)鞠つき歌「向ひ通るは甚太じゃないか、てっぽかついで小脇指をさいて」

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デジタル大辞泉 「鉄砲」の意味・読み・例文・類語

てっ‐ぽう〔‐パウ〕【鉄砲/鉄×炮】

火薬の爆発に伴うガス圧によって弾丸を発射する金属製の火器。ふつう小銃をいう。古くは大砲をも称した。
《形が1に似ているところから》据え風呂の下部や隅に取り付け火をたくようにした鉄製または銅製の筒状のかま
相撲で、両手または片手に力をこめて、相手のからだをつきとばすもの。柱に手を打ち付けてその稽古をすることにもいう。
狐拳きつねけん藤八拳)の手の一。こぶしを固めて左腕前方に突き出し、鉄砲1を撃つまねをして猟師を表すもの。
《毒にあたると死ぬところから》フグの俗称。
鉄砲巻き」の略。
牛や豚の直腸。主に焼き肉にして食し、やや歯ごたえがある。
劇場で、1階中央の席。椅子席でなかった時代には、最も見やすく出入りに便利な席とされた。劇場と縁故をもつ観客のために急にずどんと席をとることがあったところからという。
鉄砲見世」の略。
「大町六十幾軒に五十軒の河岸見世、―に至るまで」〈洒・志羅川夜船〉
10 ほら。大言。また、うそつき。
「いやいや、飛八さんの話はいつも―だて」〈滑・浮世風呂・四〉
[類語]銃器飛び道具ピストル短銃拳銃はじき機関銃機関砲小銃ライフル銃猟銃火縄銃散弾銃空気銃大砲迫撃砲ショットガンエアガンマシンガンカービン銃バズーカ砲ガス銃ガトリング銃カラシニコフ騎銃救難銃軽機関銃ゲベール銃高圧電流銃三八式歩兵銃実銃自動拳銃自動小銃重機関銃準空気銃水中銃スタンガンスナイドル銃短機関銃単身銃単発銃鳥銃二連銃村田銃モーゼル銃連発銃遊戯銃玩具銃模型銃光線銃水鉄砲豆鉄砲紙鉄砲威し鉄砲空鉄砲剣付き鉄砲竹鉄砲ふところ鉄砲山吹鉄砲トイガンモデルガンエアソフトガンエアライフルビームライフル

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普及版 字通 「鉄砲」の読み・字形・画数・意味

【鉄砲】てつぽう(ぱう)

小銃。〔海槎余録〕黎俗、二に則ち出獵す。~人犬齊しく奮ひて閙(けうたう)し、~獸怖して深嶺に向ふ。~鐵一二百、犬百隻を持し、密かに大嶺に向ひ、を擧げ喊を發し、犬を縱ちて捕す。~に着き、に中(あた)らざる無し。

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百科事典マイペディア 「鉄砲」の意味・わかりやすい解説

鉄砲【てっぽう】

小銃旧称。日本には1543年種子島にきたポルトガル人により初めてもたらされた。ポルトガル語エスピンガルダ,英語でアーキバスという火縄長銃であった(種子島銃)。その製造法は1553年ころまでに坊津(ぼうのつ),平戸,豊後(ぶんご)(大分),堺などに伝わり,各地に鉄砲鍛冶が興った。堺鉄砲鍛冶,薩摩鉄砲鍛冶,国友鉄砲鍛冶などが有名。戦国大名は鉄砲を求めて狂奔し,鉄砲隊を編制して戦術・築城法に一大革命が起こった。
→関連項目種子島時尭長篠の戦薙刀

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉄砲」の意味・わかりやすい解説

鉄砲
てっぽう

ライフル銃、散弾銃など小銃器の総称。『蒙古襲来絵詞(もうこしゅうらいえことば)』によると、1274年(文永11)に日本に侵攻したモンゴル軍が、鉄製の容器に爆発薬または燃焼薬を詰めて点火、投擲(とうてき)する原始的火器を使用した。これを「てつはう=鉄炮」といい、以来、日本では小銃器(中国では鳥銃(ちょうじゅう)という)を鉄砲と称した。

[小橋良夫]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「鉄砲」の解説

鉄砲
てっぽう

火薬の力で鉄の筒から弾丸を発射させる武器の総称。火器・銃ともいい,筒の太いものを大砲という。日本が鉄砲に接触した最初は13世紀末の元寇の際の元軍使用のものだが,これは火薬を爆発させて音響効果を狙ったもので,のちの鉄砲とは異なる。その後,通説では1543年(天文12)ポルトガル人により種子島(たねがしま)に火縄銃(ひなわじゅう)が伝えられ,以後,種子島とよばれて戦国大名間に普及した。近世の鎖国体制のなかで,鉄砲の大量利用例は少なくなり,鉄砲の機能・技術は停滞した。むしろ外面的装飾をこらす装飾砲が造られ,鉄砲技術は流派の秘伝となり,鉄砲使用は農山村の在村銃が多くなった。開国後,火縄銃から大量に輸入された洋式銃にかわった。

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世界大百科事典 第2版 「鉄砲」の意味・わかりやすい解説

てっぽう【鉄砲】

火薬の爆発力を利用して弾丸を打ち出す武器。大砲を含むこともあるが,とくに小銃を指す。ここでは,西洋における鉄砲を含む武器携帯のあり方,日本への鉄砲伝来と近世における鉄砲使用のあり方について説明する。鉄砲の構造,分類,沿革については〈小銃〉の項目を参照されたい。
[西洋]
 銃砲所持,広い意味での武器携帯は,古代社会から今日に至るまでさまざまの規制の対象となっている。古代のローマやアテナイでは市中での武器携帯は禁止され,東ローマ皇帝ユスティニアヌス1世は私人がかってに武器を製造し取引することを厳禁した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鉄砲」の意味・わかりやすい解説

鉄砲
てっぽう

相撲用語。稽古場にある「鉄砲柱」に向かって行なう突っ張りの稽古法。左で突く場合は左腰を入れ,左足爪先の親指に力を入れて柱の方向にすり込んでいくのが本格。また,もろ手突きのこともいう。

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とっさの日本語便利帳 「鉄砲」の解説

鉄砲

休養明けの初戦。レース間隔が空いてもいきなり走れるタイプの馬を「鉄砲駈けする」という。「ポン駈けする」とも。

鉄砲

柱や人を相手に、突きや押しの力、手足の連係を養うトレーニング。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「鉄砲」の解説

鉄砲 (テッポウ)

動物。フグ科の魚類の総称。フグの別称

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世界大百科事典内の鉄砲の言及

【安土桃山時代】より

… この時代の文化を象徴するものは城郭建築であるが,中世の城郭が山の斜面を利用して土塁と空堀をつくり,郭(くるわ)(曲輪)による防御機能を中心にしているのに対し,近世の城郭は平地に築かれ,周囲に堀をめぐらして水をたたえ,高く石垣を積みあげ,最上部には天守閣がそびえていた。従来の山城から平城への移行は,鉄砲の伝来による戦術の変化のためで,領国統治の中枢として権力者の富と権威を象徴するものとなった。信長が1576年に築いた安土城は平山城であるが,近世様式の最初で,外柱は朱色,内柱は金色に塗られ,最上部の望楼には内外ともに金が張られていた。…

【軍制】より

…寄子制は村落支配にも採用され,広く農民層が戦場に動員される。槍と鉄砲の使用がそれを促進し,足軽野伏と傭兵制が軍制上での新たな問題になる。戦国大名領国においては,軍制が政治の主要なものであった。…

【小銃】より

…ベトナム戦争で5.56mm口径のM16小銃(アメリカ)が,また中東戦争で同じく口径5.56mmのガリル突撃銃(イスラエル)が使用され,5.56mm口径の有効性が確認されてから,他のNATO諸国でも次々に5.56mm小銃が開発され,ソ連でも5.45mm口径のAK74およびAKS74小銃が開発・装備された。 日本においては,1543年(天文12)の鉄砲伝来以来,わずかの間に多数の鉄砲を使用する近世集団戦術が確立して足軽鉄砲隊が編成され,長篠の戦(1575)の織田軍は3000梃を使用するまでになった。文禄・慶長の役当時は鉄砲と足軽の比は14%程度であったが,関ヶ原の戦(1600)には40%近くまで増大した。…

【関所】より

…これは史料の性格や関所に対する認識の違いによるもので,《諸国御関所書付》によると〈重キ御関所〉26ヵ所,〈軽キ御関所〉28ヵ所の計54ヵ所であるが,このうち前者のみを幕府の関所とみなす論者もいる。 近世の関所の機能を端的に表現するものとして,〈入鉄砲に出女〉の言葉がある。それは関東内への諸大名等の鉄砲以下の武器潜入,江戸藩邸の大名妻子の国許への逃亡を監視することが主任務であったが,幕府の全国支配が貫徹するころには箱根関のように前者の検閲が若干緩和される例もみられた。…

【種子島】より

…南北朝時代以降島主となる種子島氏はその系統であるが,《種子島家譜》は平家落人の子孫と伝える。1543年(天文12)にはポルトガル船が門倉崎に漂着して鉄砲を伝来し,その後国産銃(種子島銃)の製作に成功した。戦国期にはまた種子島氏と禰寝(ねじめ)氏との抗争が続き,種子島氏は戦国大名島津氏と結んだが,1595年(文禄4)島津以久(もちひさ)領となった。…

【長篠の戦】より

…武田信玄の没後,家康が長篠城を取り返したので,勝頼は前年に遠江高天神(たかてんじん)城を陥れた勢いに乗り,75年4月21日約1万(兵員数には諸説がある)の軍勢で長篠城を囲んだ。5月15日鳥居強右衛門(すねえもん)を使者にしての城主奥平信昌の請いにより,勝頼軍の約3倍の兵員で家康,信長の連合軍が救援におもむき,長篠城の西約2kmの設楽原で連吾川を前にして三重の馬防柵を築き,3000挺の鉄砲を配備して武田勢を待った。これに対し武田勢は午前6時ごろより午後2時ごろまで騎馬隊による突撃を繰り返したが,柵にはばまれて敵陣に入ることができず,しかも鉄砲の一斉射撃を浴びて壊滅的な打撃をうけた。…

【武器】より

…この弓矢と騎馬による正確な射撃がモンゴルの大帝国をつくりあげたといわれている。ほかに火器として,花砲という大音響を発するもので,これを敵陣に打ちこんで軍馬や兵士を混乱におとしいれるものがあり,ついで火槍という燧(ひうち)石を使って火薬に点火し,その爆発力によって砲弾を飛ばす初期の鉄砲があり,さらにポルトガル人がインドに運んできたといわれる大砲を模倣したものがあった。
[銃砲の登場]
 明代の武器は日本から直接輸入したものや,日本製武器を参考にして作られたものもある。…

※「鉄砲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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