翻訳|red lead
四三酸化鉛Pb3O4を主成分とする赤橙(せきとう)色顔料(がんりょう)。光明丹(こうみょうたん)ともいう。べんがらとともに塗料用にあてられ、四三酸化鉛の示す微アルカリ性と、このほかに含まれている一酸化鉛PbOの化学的活性のため、鋼材の塩基性防錆(ぼうせい)顔料あるいは下塗り用顔料として、古くから使用されていた。
製法は、金属鉛を約600℃に加熱、溶融後、空気酸化して一酸化鉛とし、この一酸化鉛を未反応の鉛と分離し、ふたたび400~500℃で加熱、十分に酸化して、赤色の四三酸化鉛(鉛丹)とする。このほか、金属鉛を、加熱できるボールミル中で、粉砕および酸化を同時に行い、鉛丹をつくる方法もある。鮮明な黄みの赤色で、空気中に放置すると、炭酸鉛の生成により、部分的に白色を示す。四三酸化鉛の含有量が多くなると赤みを増し、逆に一酸化鉛の多いものほど黄みが強くなる。JIS(ジス)(日本工業規格。現、日本産業規格)により四三酸化鉛97%以上を特号、96%以上を1号、93%以上を2号、80%以上を3号とよぶ4種がある(2010年廃止)が、一酸化鉛の量が多くなるほど、乾性油との反応性が大きく、鉛せっけんをつくりやすくなり、塗膜は柔軟性、密着性がよく、風化に耐えるが、貯蔵性は低下する。防錆性は四三酸化鉛80%ぐらいがもっともよいとされている。この鉛丹の有効な防錆成分である一酸化鉛を極端に多くしたものが、亜酸化鉛とよばれるもので、鉛と一酸化鉛との混合物である。
[大塚 淳]
現在は鉛が人体に有害な影響をもたらすことから世界的に規制が進み、代替製品が主流となっている。
[編集部]
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
四酸化三鉛Pb3O4のこと。酸化鉛(II)PbOと酸化鉛(IV)PbO2との複酸化物(2PbO・PbO2)で,酸化二鉛(II)鉛(IV),四三酸化鉛ともいう。また光明丹とも呼ばれ,古くから橙赤色の無機顔料として用いられてきた。比重9.07。500℃に加熱するとPbOに分解する。使用に際しては鉛毒に注意する必要がある。鉛粉をアスベスト製ベルト上に薄く広げて点火し,酸化熱により燃焼させPbOをつくり,これをさらに反射炉またはマッフル炉に入れて酸化して鉛丹とする。金属鉛を反射炉のなかで融解後空気酸化する直接法や,金属鉛と硝酸ナトリウムを溶融する硝酸ナトリウム法もあるが量的には少ない。蓄電池の電極板材料,塗料(堅練,調合,さび止め,船底),管球ガラス,光学ガラス,陶磁器やホウロウのうわぐすり,ゴムの加硫促進助剤,プラスチックの着色剤に用いられる。
執筆者:新井 吉衞
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
四酸化三鉛,四三酸化鉛,光明丹ともいう.顔料の一種.主成分はPb3O4であるが,10~25% の一酸化鉛PbOを含有する.鉛粉または粉状の酸化鉛(Ⅱ)を空気中で約450 ℃ に加熱すると生じる赤色の無定形粉末.密度9.1 g cm-3.約550 ℃ に加熱すると分解する.酸素を放って酸化鉛(Ⅱ)となる.水に不溶であるが硝酸を作用させると不溶性の二酸化鉛と硝酸鉛を生じる.赤色顔料,絵の具,ペイント,鉛ガラス,さび止め塗料,蓄電池の極板に用いられる.[CAS 1314-41-6]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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※「鉛丹」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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