(読み)ショウ

デジタル大辞泉 「鐘」の意味・読み・例文・類語

しょう【鐘】[漢字項目]

常用漢字] [音]ショウ(漢) シュ(呉) [訓]かね
ショウ
つりがね。「鐘声鐘楼暁鐘警鐘古鐘時鐘半鐘晩鐘梵鐘ぼんしょう
打楽器の一。かね。「鐘鼓編鐘
時計。また、時刻。「一点鐘自鳴鐘
〈かね(がね)〉「大鐘早鐘
[名のり]あつむ
[難読]黄鐘おうしき

かね【鐘/×鉦】

(鐘)打ち鳴らすために金属で作った器具。また、その音。梵鐘ぼんしょう半鐘や教会などの釣鐘にもいう。「をつく」「除夜のを聞く」
(鉦)
㋐下に伏せて置き、撞木しゅもくで打ち鳴らす金属性の仏具。たたきがね。ふせがね。
㋑台にかけて打ち鳴らす古代の楽器。けい
鉦鼓しょうこのこと。
[類語]半鐘

しょう【鐘】

つるして打ち鳴らすかねの総称。梵鐘ぼんしょう半鐘など。
中国古代の打楽器。青銅製のつり鐘で、下底部が弧状に切れ上がっている。音階をなす一組のものを編鐘という。

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精選版 日本国語大辞典 「鐘」の意味・読み・例文・類語

かね【鐘・鉦】

  1. 〘 名詞 〙 多く、銅や銅の合金で作られ、撞木(しゅもく)などでたたいたりついたりしてならす器具。
  2. [ 一 ] ( 鐘 )
    1. 釣鐘(つりがね)、撞鐘(つきがね)の総称。時刻を知らせるために打ち鳴らす。梵鐘、半鐘などの別がある。
      1. [初出の実例]「皆人を寝よとの金(かね)は打つなれど君をし思へばい寝かてぬかも」(出典:万葉集(8C後)四・六〇七)
      2. 「かねつきてとぢめむことはさすがにてこたへま憂きぞかつはあやなき」(出典:源氏物語(1001‐14頃)末摘花)
      3. 「世わたりは時斗(とけい)の細工人此鐘の音に浮世の眠りをさまし」(出典:浮世草子・本朝桜陰比事(1689)二)
    2. 鐘の音。
      1. [初出の実例]「さらぬだに心細きを山里のかねさへ秋の暮を告ぐなり〈覚忠〉」(出典:千載和歌集(1187)秋下・三八二)
    3. 新吉原で「鐘四つ」のこと。
      1. [初出の実例]「『唯今鐘(カネ)でござります』『モシへ今四つでござんすとさ』」(出典:洒落本・文選臥坐(1790)北廓の奇説)
    4. 能楽や歌舞伎の「道成寺」に用いる、鐘の形のつくりもの。
  3. [ 二 ] ( 鉦 )
    1. たたきがね。下に伏せて置いて撞木(しゅもく)でたたいて鳴らす、平たいかね。また、その音。法事、念仏などの際に用い、また、打楽器として用いる。ふせがね。ひらがね。
      1. [初出の実例]「誦経のかねの音など、我がななりと聞くもたのもしうおぼゆ」(出典:枕草子(10C終)一二〇)
    2. 御八講などの論議のときに、威儀師が打ち鳴らす磬(けい)。うちならし。
    3. 鉦鼓(しょうこ)のこと。

しょう【鐘】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 中国の古楽器。深い椀(わん)をさかさにした形の青銅製の打楽器で、つるして打ち鳴らす。殷(いん)、周代に盛んに用いられ、漢代には衰えた。一箇のものを特鐘、多数を配列したものを編という。〔礼記‐郊特牲〕
  3. かね。つりがね。つきがね。

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改訂新版 世界大百科事典 「鐘」の意味・わかりやすい解説

鐘/鉦 (かね)

金属製で,打ち,叩き,撞き,振り鳴らす物,揺れ鳴る物の総称。中国,日本の(けい),雲板(うんばん)やイタリアのボローニャ地方の前10~前6世紀の青銅製品のような板状の〈かね〉もある。しかし大多数の〈かね〉は,中空の身(み)をそなえ,上端に鈕(ちゆう)とよぶつり手か柄(え)をそなえている。身の他端は,梵鐘(ぼんしよう)(=釣鐘)のように開いて終わるものが多い。しかし鈴(すず)のように包まれた形のものもある。発音のための構造としては,ヨーロッパの教会の〈鐘(かね)〉や家畜のベルのように身の内側に舌(ぜつ)clapperと呼ぶ棒をつるす場合と,鈴のように丸(がん)を入れる場合,舌,丸いずれももたない場合がある。欧米では,身が板状のもの,中空なもの,鈕,柄の有無,舌,丸の有無の区別をこえてすべてをbell(英語),Glocke(ドイツ語),cloche(フランス語)と呼ぶのに対して,中国では,古来それぞれを違う名で呼び分け,部分名称も詳しい。たとえば(しよう)は本来,甬(よう)と呼ぶ柄に幹(かん)と呼ぶ環を取り付けてつるし叩き鳴らす有柄無舌の〈かね〉をさしたが,後には有鈕無舌の叩き鳴らす〈かね〉をもっぱらさすようになった。日本でも古代以来その意味で使っている。また,鍾は一般には酒器を意味するが,古くは鐘の〈かね〉の意味でも用いられた。したがって有鈕有舌のヨーロッパの教会の〈鐘〉は厳密には鐘ではない。中国では〈鈴〉に2義があり,旗や家畜の頸につるして揺れ鳴る〈かね〉と,有鈕有丸の〈すず〉とを指す((すず),(れい))。また〈(たく)〉はもっぱら有柄有舌の振り鳴らす〈かね〉をさした。しかし日本では,古代以来,鈴はもっぱら〈すず〉をさし,有鈕有舌の〈かね〉を鐸と呼んでいる。馬につるす〈かね〉を,中国では馬鈴,日本では馬鐸と呼ぶのもそのあらわれである。
執筆者:

一般にいう鐘(かね)は,半球ないし円錘形の金属製打楽器で,外側を槌などで打つか撞木で突いて音が出されるものと,内部の頂上から吊り下げられた舌(ぜつ)で内側から打って音が出されるものがある。後者は鐸および鈴として区別されているが,一般には鐘の字を用いている。楽器分類上のベル,すなわち器体周辺部の振動で発音するものに相当する。

鐘は(すず)とほぼ同じ歴史をもち,植物の実を祖型として初期には土や木なども材料に用いられたことが,現存する世界各地の民族の楽器から推察されている。鐘は冶金・鋳金技術をもつ民族の間で広く作られ,主として災害,病気,魔よけお守りや宗教的な儀式などに用いられた。初期の鐘は全般的に小型で,頂上につけられた柄を持って振り鳴らす鈴(れい)(ハンドベル)と,鈕がつけられていて衣服に縫い付けられたり,紐でつないで人の手足または家畜の首などに下げて使用されたものとに大別される。材料には地域差があり,東アジアおよび西アジアでは青銅,古代エジプトや中南米では金,銀なども用いられ,アフリカではしばしば鉄を鍛造した鐘が作られた。形状は多様であるが,大別すると開放部の形は円形が最も一般的で,まれに楕円形,四角形,六角形または八角形のほか,特殊な例としては両端のとがった楕円形が古代中国およびアフリカに見られる。側面から見た〈鐘〉の形状は半円形,半楕円形,三角形,矩形などに近いものがあり,また,花をかたどったり動物などの象徴的な飾りをつけた〈鐘〉も少なくない。

現在一般に鐘と称されている大型のものは,前1000年ころまでに最も鋳造技術の進んでいた中国で作られたのが始まりで,周代には既に一定の音高に調律された鐘(しよう)が楽器(特鐘,編鐘)として典礼音楽の中に取り入れられるようになっていた。インドでは前6世紀ころからヒンドゥー教で小型の鈴(れい)は音楽に,蓮の花をかたどった大型の鐘は寺院の入口につり下げられて使用されたといわれている。仏教においても同様に鈴(れい)と鐘が広く用いられたほか,多くの風鐸が寺院や仏塔の軒につられ,風の力で壮大な響きを作り出したが,東方への伝播と共に開放部が円形の鐘が中国でも作られるようになり,さらに鐘の音を信仰心のあらわれとする朝鮮半島の人々の信条から,同地域で巨大な鐘の鋳造が盛んになって中国,日本に及び,この地域独特の梵鐘が誕生した。中央アジアでは,鐘は先史時代から遊牧民族の生活に則した小型のものが用いられ,西アジアでは前1000年ころからまず鈴(れい)が祭礼に用いられ,次いで前500年ころになると,同地域一帯で小型の鐘が動物につけられるようになったといわれている。

ヨーロッパに〈鐘(かね)〉が移入されたのは5世紀以降で,ケルト人によって初めに鍛造のハンドベル〈鈴(れい)〉が広められた。鋳造技術は西アジアからイタリアを経てスコットランドおよびアイルランドに達し,そこからヨーロッパに導入されたといわれるが,また西アジアから黒海沿岸を通って東ヨーロッパ,北欧に達する経路,あるいは北アフリカを経て南ヨーロッパに達する経路などもあったとされており,複雑である。とくに,ギリシアにおいて祭式に参加する民衆のために神殿の前で〈鐘〉を鳴らす習慣が,3世紀から5世紀にかけて北アフリカのキリスト教の儀式に取り入れられ,これがキリスト教会と〈鐘〉が切り離せない関係になった遠因とされている。ヨーロッパで〈鐘〉が鋳造されるようになったのは6世紀末のイタリアにおいてであったといわれるが,〈鐘〉の普及状況や用法には,東・西ヨーロッパの間で種々の相違が見られる。西欧のローマ・カトリック教会では,複数の〈鐘〉が同時に振り動かされるのに対して,遅れて〈鐘〉が取り入れられた東欧のギリシア正教会では〈鐘〉は固定され,舌を紐で引いて打ち鳴らす方法が主体となっている。この両者の打ち方の違いによって,前者では大小の〈鐘〉の音が無秩序に重なり合って波のうねりのように聞こえるのに対し,後者のそれはより旋律的であるといえる。しかし,イギリスやフランスの一部では,例外的に大小の〈鐘〉の動きの周期を統一して交互に鳴らすチェンジリンギングの方法も用いられている。

 ヨーロッパでは〈鐘〉が宗教的用途に使われたほか,などの社会的な場でも用いられた。さらに古代中国と同様に音楽にも広げられ,13世紀ころから楽器としての側面が重要になってきた。その結果,音高はもとより複数の〈鐘〉の音の響きが美しくなるように調整された音色が要求され,上部は円筒形に近く,開放部が大きく開いた機能的なベル型となった。これは外部に多くの装飾や銘をもち,鋳造後に音の調整が行われない梵鐘とは好対照をなしている。バルカン半島トルコなどでは,種々の音高に合わせた大小の〈鐘〉を放牧する家畜の首につけて,自然にかなでられる美しい響きを楽しむ習慣が今なお残っている。
執筆者:

日本では金属製の器体を打つ打楽器を〈かね〉と総称する。銅鈸(どうばつ)のように円盤を打ち合わせるシンバル型や,磬,鈴(すず)なども含めることもあるが,ベルとゴングの類がとくに〈かね〉と呼ばれる。ベルには鐘の字を当て,梵鐘や小型の半鐘のほか,仏教儀式で用いる(きん)も鐘に属する。ゴングのうち肉厚のものは鉦(かね)と呼ばれ,肉薄の銅鑼(どら)などは鑼として区別される。なお,中国古代の鉦(しよう)は鐘(しよう)に似ており,槌で打って鳴らす楽器で,日本の鉦とは異なる。

 鉦は肉厚の平円板の周辺を折り返した縁がさらに外側に折り返されて平らな縁をなす。この本体を槌などで打って鳴らす。伎楽には鉦盤という楽器が使われた。この実物は残っていないが,鉦の類らしい。雅楽の鉦鼓(しようこ)は平安時代以後用いられ,縁に紐をつけて枠につるし凹面を打つ。念仏などの伴奏に用いる双盤(そうばん)は大型の鉦で直径60cmくらいまである。双盤の字の音は鉦盤に似ているが,両者の関係は明らかでない。静岡県の民俗芸能〈遠州大念仏〉の双盤は二つの鉦を対にして枠につり下げて打つ。鉦は共鳴してうなりを発する。佐賀県の民俗芸能〈鉦浮立(かねふりゆう)〉では双盤や小さな鉦が使われる。歌舞伎囃子では木の枠につるして用いられ,寺院の場やにぎやかな雰囲気を表すのに使われる。

 鉦は風流(ふりゆう)系の芸能に広く使われる。金属製打楽器の音は悪霊を鎮める力をもつと考えられ,《梁塵秘抄口伝集》巻第十四にも京都紫野のやすらい花の囃子として〈かね〉を記している。鎌倉時代に空也僧が鹿の角のついた杖をかつぎ,胸に鉦をつけて歩いたことが《法然上人行状絵図》に描かれ,時宗(じしゆう)の開祖,一遍が空也をあがめて広めた踊念仏にも鉦が使われている。

 現在,各地の念仏踊,祭囃子,盆踊,田植囃子,歌舞伎囃子や寄席囃子などで打たれる鉦は,直径15cmから30cmくらいで,鉦鼓その他さまざまの名称がある。桴(ばち)には鹿の角の頭がついた〈角撞木(つのしゆもく)〉などがある。鉦の縁に紐をつけて左手で下げ,右手の桴で打つのを当り鉦,下げ鉦と呼び,手のひらに持って凹面の中を横に摺って打つのを摺り鉦,つかみ鉦と呼ぶ。例をいくつか挙げると,長野県佐久市大字跡部に伝わる〈跡部の踊念仏〉では踊手が胸に鉦をつけて鳴らし,〈南無阿弥陀仏〉の6字をうたう。京都の祇園囃子の鉦は直径約20cmくらいで,上方から紐でつり下げ,10人くらいがそれぞれ一つずつを打つ。左手で紐を支え右手で鉦の中央部や縁を桴で打って囃子のリズムの基本を刻む。祇園囃子の象徴である〈コンチキチン〉とは鉦の音を模したものであり,鉦自体をコンチキと呼ぶこともある。江戸祭囃子の鉦は四(与)助,太神楽(だいかぐら)の鉦はチャンチキとも呼ばれ,細かく打ち鳴らす。歌舞伎囃子では鉦は祭囃子や町の場面を表すときに使われる。

 伏鉦(ふせがね)は鉦の縁に小さな三つ足のついたもので,伏せて上から柳撞木で打つ。念仏講で打つもので,念仏鉦とも呼ばれる。歌舞伎囃子では伏鉦に大・小の型があり,大きいものが一つ鉦,中双盤,小さいものが松虫である。一つ鉦は余韻のある音を発し,寺院や殺し場など陰惨さを表すときに用いる。松虫は音の高さの異なる2個を並べて撞木2本で打ち,寺院の場面などに用い,念仏の鉦を表すほか,虫の鳴声や刀鍛冶の音を描写する。一つ鉦をつり下げて角撞木で打つのが寄席囃子の中双盤である。

 鉦はこのように日本の芸能で広範囲に用いられ,金属的な音色を囃子の中で生かしているが,音高を意識して調律し旋律を演奏するという用法は行われていない。
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鐘 (しょう)
zhōng

中国古代の青銅製楽器で,(てい)とならぶ重要な礼楽の器。祭祀・饗宴のときや,軍隊での合図用として他の楽器とともに使用された。横断面が杏仁形をした吊鐘状楽器で,おおよそ3形式がある。器の下底を于(う)というが,それがアーチ状に内湾し,上部にある棒状の甬(よう)に旋(せん)という吊り環がついている形式を鐘あるいは甬鐘と称し,吊り手がコの字形の鈕(ちゆう)になったものは鈕鐘と称する。于が平らで吊り手がコの字形の鈕になったものは鎛(はく)と称する。鐘の各部分については古くからの名称があり,両面の縦の中央帯を鉦と称し,銘文などの多くはここに刻されている。これをはさんで両側に3個ずつの枚または景という突乳が3段あり,その乳列の間にある文様帯を篆(てん)という。于の両端を銑(せん)といい,その上の横帯を鼓(こ)と称し,ここに文様や銘文があるものもある。この中心のくぼんだ部分を隧(すい)と称し,橦木でたたくところである。

 一般には音階によって大きさが順次,異なった相似形の鐘を,(きよ)という横木に掛け並べた編鐘(へんしよう)の形式で演奏するが,ときには,大型の鐘(鏞(よう)または特鐘という)1個だけ独立して使用することもある。殷代では石製の(けい)という打楽器と鳩笛の一種の吹奏楽器と共に鐃(どう)あるいは鉦という,外形が鐘に似て,上に棒状の柄がついた青銅製の打楽器を手に持って打ち鳴らしていた。鐘はこの打楽器から発展したもので,西周時代中期の陝西省長安県普渡村の墓から出土した,大小3個の甬鐘が最も古い例である。春秋時代になると多く見られるようになり,また鈕のところに虎や虺竜形を飾っている鈕鐘および鎛が現れ,戦国時代になると鈕鐘が多数を占めることになる。編鐘は,西周時代中期は3個1組であるが,西周時代後期から数が増し,少なくとも8個以上がセットになる。春秋戦国時代になると,13~14個がセットをなして音階を構成し,メロディを表現することが可能になった。この音階は現在使用されている七音音階とだいたいにおいて一致している。

 1977年に湖北省随県で発見された戦国時代の曾侯乙の墓からは,高さ2.7m,全長が10.8mもある大きなL字形のに,合計65個,総重量2.5tに達する編鐘と編鎛が出土した。このうち一つは大型の鎛で,独立しているが,他は数の異なる八つのセットの編鐘になっている。さらにこの鐘には音楽に関する銘文があって,個々の鐘には音階とともに,律と音階の関係,および曾国と楚,斉,晋などの国の律名と音階名との関係などが銘せられている。実験による測定結果によると,7音階がそなわり,また26に達する律名の存在から,すでに転調もほぼ完全に可能な状態にあったと思われ,古い音楽だけでなく,現代音楽の演奏にも使用され得る。鐘が生まれてきた背景には,西周末期の周王の権威低下,貴族層の強大化,社会機構と秩序の弛緩があり,秩序の回復より自己一族の維持と繁栄を願うことから,人々は多分に享楽的になり,今までの楽器に満足せず,新しい鐘を発明し,これをセットにして編鐘としたらしい。鐘の美しい音は,祭りのときに天上にいる祖先神を招き慰めると同時に自己および一族の繁栄を願ったものである。そのため銘文には,幸福を祈願するものが見られる。音楽は祭礼のためだけでなく,生活の楽しみの一つになってきたところに,大編成の編鐘が生まれる原因があった。孔子が嘆いた淫らな音楽いわゆる〈鄭衛の音〉とはこのような音楽であった。
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百科事典マイペディア 「鐘」の意味・わかりやすい解説

鐘【かね】

金属製の椀状打奏体鳴楽器。楽器の周縁部を,中に吊した舌(ぜつ)が打って鳴るものと,外から打つものとの2種類がある。前者には鐸(たく),鈴(れい),ベルなど,後者には梵鐘,【きん】など。初期のものは全般的に小型で,頂上につけた柄を持って振り鳴らす鈴(れい)(ハンドベル)と,紐をつけて衣服に縫いつけたり,紐でつないで人の手足や家畜の首などに下げたものに大別される。大型のものは中国で作られたのが始まりで((しょう)),朝鮮半島ではさらに大きい梵鐘が誕生。ヨーロッパに移入されたのは5世紀以降で,初めはケルト人によってハンドベルが広められた。6世紀末にはイタリアでベルが鋳造されるようになり,キリスト教会と関連しながら発達。機械仕掛けによる鳴鐘法も考案される(カリヨン)。

鐘【しょう】

中国の雅楽で用いられる青銅製の椀状打奏体鳴楽器。中国語ではジョン。(かね)の類。中国の八音では金の類。胴は上が少し狭く,下方へいくに従って広がり,下辺は内側に弧を描く。上部には柄が,胴には乳形の隆起が多数つき,下辺中央部を槌で打つ。古くは音律の基準の具であった。架に1個ずつかけたものを特鐘(トージョン),いくつかセットにしたものを編鐘(ビエンジョン)と呼ぶ。青銅器時代の周に盛んで,西周中期には編鐘が出現。編鐘は,祭りのときに祖先神を招き慰めると同時に自己および一族の繁栄を願うためのものであった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鐘」の意味・わかりやすい解説


かね

通常,鐘楼などにつるし,用途により梵鐘 (時鐘) ,陣鐘,喚鐘,楽鐘などに分れ,形状も各種ある。東洋では,中国,周代の楽鐘が漢代の朝鐘となり,のちに寺院の時鐘となって日本にも飛鳥時代に仏教とともに伝わり,現代にいたるまで数多く鋳造されている。主として青銅製であるが平安時代以降,鋳鉄製のものもある。キリスト教圏での最古の作例と思われるものは,北アフリカの僧院にあり,535年頃の作。ヨーロッパ本土では,9世紀までさかのぼる。銘文が刻まれていたり,文様などの装飾が施されていることが多いため,その地方の歴史的資料としての価値をもつ。


しょう
zhong

中国の体鳴楽器。青銅製で,背の高い碗の形をしており,底の部分を上にして架につるして,下方の縁に近い部分を槌で打つ。単独の鐘のほかに,固有の音律をもったいくつかの鐘を組合せた編鐘があり,これは旋律を奏することができる。古代の雅楽や胡楽などで用いた。仏教寺院の梵鐘や半鐘は,この鐘から出たもの。


かね

コロコル」のページをご覧ください。

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デジタル大辞泉プラス 「鐘」の解説

内田康夫の長編推理小説。1991年刊行。浅見光彦シリーズ。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【市】より

交易・売買取引のための会同場所。市場(いちば)ともいう。いろいろな形態の市が,古代から世界のほとんどの社会に認められる。K.ポランニーによれば,人間社会の歴史全体からみると,生産と分配の過程には,三つの類型の社会制度が存在しており,古代あるいは未開の社会から現代諸社会まで,それらが単一にあるいは複合しながら経済過程の機構をつくってきた。それらは,(1)互酬reciprocity 諸社会集団が特定のパターンに従って相互に贈与しあう,(2)再分配redistribution 族長・王など,その社会の権力の中心にものが集まり,それから再び成員にもたらされる,(3)交換exchange ものとものとの等価性が当事者間で了解されるに十分なだけの安定した価値体系が成立しているもとで,個人間・集団間に交わされる財・サービス等の往復運動,の3類型であり,それぞれの類型は社会構造と密接に連関をもって存在している。…

【鈴】より

…中空の身の中に,丸(がん)を封じた楽器,鳴物。身は球形で一端に細い口(鈴口(すずくち))をあけるのが一般であるが,扁平なものや砲弾形,多角形のものもあり,また何ヵ所もの口をあける場合がある。比較的小型で,金属のほか土や木でもつくられ,吊り下げるための鈕(ちゆう)をもつ。〈がらがら〉などと同じように,乾燥した木の実などに,その原型を求める説もある。 日本では古く〈須須(すず)〉と書かれ(《和名抄》),その語源は朝鮮語起源説(《東雅》),〈音の涼しきより名づくならむ〉(《和訓栞(わくんのしおり)》)などと諸説あるが,明らかではない。…

【双盤】より

…日本の仏教音楽や民俗芸能,下座(げざ)音楽で用いられる楽器で,(かね)の一種。体鳴楽器。鋳造製で肉厚の皿状の形をしたもの。直径40~60cmほどあり木製の枠に吊って撞木(しゆもく)で打つ。仏教ではおもに浄土宗で用いられ,とくに雲版,太鼓などとともに奏する揩定(かいじよう)念仏(六字詰(ろくじづめ)念仏,歌念仏)は有名である。また民衆の中に広まった静岡県の遠州大念仏などの念仏踊でも用いられる。佐賀県の鉦浮立(かねふりゆう)はいくつかの双盤を中心に,太鼓,笛などの合奏によるもので,双盤を用いた民俗芸能の中でも代表的である。…

【梵鐘】より

…仏寺で時を知らせ,衆を集めるために用いる鐘(かね)。〈梵〉はサンスクリットのブラフマンbrahmanの音訳で,〈神聖〉〈清浄〉を意味する。ほとんどが銅とスズの合金(青銅)の鋳造品で,鐘楼や鐘楼門を寺域に建てて吊(つ)るし,撞木(しゆもく)で撞(つ)き鳴らす。俗に鐘,釣鐘(つりがね)とも呼ぶが,古くからその形状や由縁によって多くの異称がある。おもなものに突鐘(つきがね),洪鐘(こうしよう),撞鐘(どうしよう),鴻鐘(こうしよう),蒲牢(ほろう),鳧鐘(ふしよう),九乳(くにゆう),青石(せいせき),華鯨(かげい),霊鐘(れいしよう)などがあげられる。…

【ヨーロッパ】より

…一般にヨーロッパという場合には,地理的概念としてのヨーロッパと,歴史的文化概念としてのヨーロッパとの二つが考えられる。
【地理的概念としてのヨーロッパ】

[自然地理的概念]
 地理的にも,自然地理と人文地理によって異なるが,まず自然地理学的意味でのヨーロッパは,東洋の全域を胴体としたユーラシア大陸の西方に突き出た半島にすぎず,その総面積も約1000万km2で,アジア部分の4分の1にも達しない地域である。またもともと陸続きのアジアとヨーロッパとの境界線は,細部についての種々の議論があるにせよ,地理学の方では,大体北から南に走るウラル山脈を基軸として南に下がり,カスピ海から,黒海の入口ボスポラス海峡を結ぶ線とみるのが常識である。…

【青銅器】より

…大小何個かで簡単な音階をなすように作られた。鐘(しよう)と呼ばれ,祭祀の際に打ち鳴らして祖先の霊を呼び出すのに使われた。この時期,伝統的な饕餮文は觚形尊に残るが,器の目だった所に大きく扱われるものとして鳳凰の類がクローズ・アップされる。…

※「鐘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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